さらに広大なフィールドへ、北欧ディスコの雄、ひさびさのアルバム・リリース
本作はこれまでの彼のファンはもちろんだが、むしろいままで彼の作品とは縁の遠かったロック・ファン――フリー・フォークやインスト・ロック、プログレのファンあたりにも聴いてもらいたい、そんな新たなとっかかりを持ったアルバムとなっている。2000年代中ごろの、リミックスも含めた猛リリース期に比べるとリリース・ペースがスロウダウンしてきている北欧はノルウェイ・ディスコの雄、リンドストロームのニュー・アルバム。純然たるソロのオリジナル・フル・アルバムとしては『Where You Go I Go Too』から4年ぶりのリリースとなる(2009年に女性シンガー、クリスタベルとのコラボ・アルバムを1枚リリースしている)。きめ細やか音色で、麻酔のようなインナー・トリップ誘うエレクトロ・ディスコのシングル群から、さらに壮大なストーリー展開を得たファースト・ソロを経て、本作ではさらにスケールが無限に広がったというか。外へ外へと笑いながら転げていくようなフリーク・アウトな風が全編に渡って吹き荒れ、生演奏の比重も増えている様子。もはやディスコというよりもサイケデリック・ロックと言ったほうが相当しいかも。