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9mm Parabellum Bullet / UNISON SQUARE GARDEN

9mm Parabellum Bullet / UNISON SQUARE GARDEN

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9年目の初期衝動

タイトルからもわかるように、この日のライヴはリキッドルーム・9mm Parabellum Bullet・UNISON SQUARE GARDEN、その3者の9周年を祝うという、じつに粋なイベント。盛大な祝宴となることうけあいの今日のリキッドルームは、札止めの満員御礼。開場直後から、開演を今か今かと待ちわびる超満員のフロアの熱気が会場じゅうに渦巻いていた。

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先攻はUNISON SQUARE GARDEN。1曲目“マスターボリューム”から、トップギアで駆けだしていく!うなるベース。軽やかさと重たさを孕んだドラム。疾走するリフ、ジャキジャキと刻まれるカッティング、フックの効いたメロディー。そして、声の求心力。3ピースが生み出す、加速するグルーヴが、漲りに漲っている。斎藤宏介(Vo/G)の「リキッドも9周年、9mmも9周年、UNISON SQUARE GARDENも9周年、大型犬だったら――ゴールデンレトリバーだったら仔犬が老犬になってるね。」というMCが笑いを誘う。
続く“きみのもとへ”、“ワールドワイド・スーパーガール”では、オーディエンスの一糸乱れぬ完璧なハンドクラップが響き渡り、フロアはますます興奮の坩堝と化していく!それに応えるように、モニターの上に飛び乗ってフロアを煽る斎藤、ステージを所狭しと駆け巡り、ついには踊りだす田淵智也(B)に、さらに歓声が湧き起こる。一糸乱れぬハンドクラップに加え、コール&レスポンスの精度・シンクロ度の高さもあいまって、フロア・バンドの双方が、ライヴの楽しさ、その極限へと向けて一体となって突き進みながら、熱狂のボルテージをぐんぐんと上げていく!

ギターロックのお手本みたいな、ポップでタメの効いた、フックの塊のようなリフ。瑞々しく駆け抜けるメロディーライン。推進力のあるヴォーカル。きれいに組み立てられた曲構成、その均衡の美を、ブリッジでリズムパターンを変えたり劇的なソロのフレーズを挿し込んだりすることで、少しだけ崩してゆく。結果、そこまで含めて、「キャッチーだけど一筋縄ではいかない、ユニゾンならではの楽曲の美」になる。そんなユニゾンの美学の詰まったサウンドの醍醐味を、ライヴの場ではよりダイレクトに、ダイナミックに、存分に堪能することができるのだからたまらない。
11月にリリースされる“桜のあと(all quartets lead to the?)”、そして“徹頭徹尾夜な夜なドライブ”と、終盤で立て続けに新曲を披露してくれたけれど、ここにもユニゾンならではの魅力的なメロディーと、新たな一面(“徹頭徹尾~”の「狂騒の祭囃子感」が新鮮!)が見てとれて、「これから」の彼らへの期待を、煽りに煽ってくれた。

“ガリレオのショーケース”で大盛り上がりを見せたラスト。鈴木貴雄(Dr)のスティックを咥えて素手でドラムを叩く姿、恒例・田淵の助走をつけた見事な前転、鈴木と互いを称えあうように盛大にお辞儀をしながら、さわやかな笑顔で「バイバイっ!」と手を振って去っていく斎藤と、三者三様、最後まで全身全霊のパフォーマンスでフロアを湧かせてくれたUNISON SQUARE GARDENだった。

後攻は、恒例のSE=Atari Teenage Riot “Digital Hardcore”とともに登場した9mm Parabellum Bullet! 菅原卓郎(Vo/G)の「9mm Parabellum Bulletです、こんばんは」という登場の挨拶も早々に、怒涛のステージへと身を投じてゆく! なんてロマンティックで、なんてバイオレンスなステージングなんだろうと、一瞬で心を奪われ、冒頭から陶然とする。かみじょうちひろの、精度の高い、悠然としたドラム。視覚と聴覚に地を這うように侵入する中村和彦のベース。縦横無尽に暴れ弾かれる滝善充のギター。ときに人さし指を立ててフロアを挑発しながら、強烈な色香を放つ菅原のギターヴォーカル。プレイヤビリティの高いメンバーが、凄絶な音塊を生み出しているにも拘らず、 ベクトルは対角線上に四方に散じ、そのアンビバレントなベクトルがはじきあいながら反作用していくことで、螺旋を描きながら狂熱を渦巻かせていく。

3曲目“新しい光”では、力強いフロアのシンガロングも加わり、まるでステージ上で暴動が起きたかのようなプレイでフロアを湧かせ、続く“Supernova”では中村の耳をつんざくスクリームに呼応し、疼く体をおさえきれないオーディエンスの拳の波がフロアじゅうを埋め尽くす。「9が3つも揃ってめでたいから、ドカンと行きましょう!」という菅原のMC通り、息つく暇もない怒涛の攻勢に対して、我を忘れて狂喜するフロア。その蜜月のように美しい共犯関係が、場の空気を支配し、掌握してゆく。

MCで語られた、2007年『The World』Tourで9mmとユニゾンが水戸で対バンした際のエピソードが、なんとも「らしくて」素敵だった。頭を負傷し、血を流しながらステージを降りた菅原。「そんな俺にタオルを差し出してくれたのは、鈴木貴雄ちゃん(笑)」「対バンできてとてもうれしいです……。今日はタオル要らないから大丈夫(笑)」という、思い入れに溢れたトークに、客席にも笑みがこぼれる。そして次に披露されたのは、その思い出のツアーのタイトルにも冠せられていた、”The World”! 世界が静止しては動き出すさまを、めまぐるしいストップモーションで切り拓かれていく世界を、時空を切り裂くように振り下ろされるギターとベースが暴きだしてゆく。歌詞どおり、音で、言葉で、その存在意義を≪手あたり次第 証明し≫つくしていった。

本編終了後、アンコールの声に応え、「じゃあ、ちょっとやって帰ります!」と再登場した9mm。菅原が、「リキッドルームもユニゾンもおれたちも同い年だってことは、おれたちがずっと続ける限り、ずっと共にアニバーサリーを歩んでいくということ」と、今日のこのイベントを総括するようなMCを放ったあと、投下されたのは“Talking Machine”! マラカスを手に持った菅原の「踊れー!」という煽りが火に油を注ぎ、続くラストナンバー“The Revolutionary”では、ステージとフロアの境界が曖昧になるほどの、狂乱のきわみの様相を呈した大団円を迎えたのだった。

UNISON SQUARE GARDENも、9mm Parabellum Bulletも、そのステージに共通していえることは、心の底からステージを/ライヴを楽しみ尽くそうという清々しいまでの心意気と、その全身全霊のステージングが快感と浸透圧のレヴェルを年々上昇させ続けていっているということだ。9年の歳月を経ても、ますます初期衝動のパワーを増大させ続けている2組に、強烈な刺激を受けどおしの一夜だった。

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