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LIQUIDROOM presents “UNDER THE INFLUENCE”

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この日のトップバッターはオープニングアクトとして登場したPsysalia Psysalis Psyche。一曲目の『CITY』から研ぎ澄まされた圧倒的なパフォーマンスでオーディエンスを惹きつける。歪みつつも多彩なギター、どこか焦燥的とも言える独特な歌声、タイトだが感情的なリズム隊、それらが融合した時に生まれる彼等の切迫した音に宿っていたのは確実にロックンロールだ。特にラストで演奏された『Subway Killer』の殺傷能力の高さは半端ではなく、正に爆発寸前の、しかしどこか醒め切った激情を奏でて去っていった。オーディエンスの心には彼等の音楽がしっかりと刻み込まれたに違いない。

ライブの転換中は贅沢にもNIRGILISとBOBO(54-71)が交代交替にDJ。NIRGILISはノリのいいテクノを中心としたアッパーな選曲で、3人仲良くDJブースで踊っていたのが印象的。一方BOBOは懐かしの名作映画のテーマソングを披露、フラッシュダンスやロッキーのテーマなどを流しながら、してやったり的な笑顔を振りまく。両者共にオーディエンスに負けじと自分達が一番楽しんでやろうといった様子で、それが会場にも伝わったのか自然と笑顔になる人々の姿が多く見られた。

二番手は兄弟ユニットであるキセルがキーボードにエマーソン北村、ドラムに北山ゆうこをサポートに迎えて4人編成で登場。優しい打ち込みのリズムが印象的な『ピクニック』でライブがスタート。少しずつ柔らかな音が重なり、そこに2人の歌声が乗ると淋しくもほっこりと温かいキセルならではの空気で満たされてゆく。『サマタイム』、『町医者』と立て続けに演奏し会場を幸福感でいっぱいにした後に、「新しいアルバムの中から一番暗い曲をやります」というMCに続いて演奏された『君の犬』。撫でる様に丁寧に一音一音が演奏され、切なく滲む心象風景は懐かしくも儚く、その尊い演奏に心が揺れた。最後は名曲『くちなしの丘』、心地良い余韻がいつまでも残る素晴らしいステージだった。

次に登場したのはtobaccojuice。『ヘッドフォンゴースト』からの始まりに会場は静かに沸き立つ。ギターの印象的なアルペジオに吸引力のあるボーカルが重なり、ベースとドラムが絡み合っては表情を付けるメロウなナンバー。しかし続いて演奏された『幻メルヘンシティー』、『HEADLIGTH』はダンサブルでロックなのだから、ジャンルレスなバンドの懐の深さが伺える。「二番目に付き合った子に捧げた唄です」と紹介されて演奏されたのは『サファイヤ』。Vo.松本の吐き出す言葉は時折痛いくらいに鋭く、どうやったって耳に残り刻まれ自然と共鳴を呼ぶ。アコースティックギターを持って唄う彼の歌声はあまりにも現実に切実で、それを支えるような演奏が艶っぽく美しかった。『ドリームス』、『スモーキーラム』で再度盛り上げ、遊び心を覗かせてステージを後にした。

続いてステージに現れたのはKAREN。ギターはART-SCHOOL の木下理樹と戸高賢史、リズム隊はdownyの仲俣和宏と秋山隆彦、そしてボーカルにアチコ(ex on button down)という豪華な5人による新バンドが遂にリキッドに初登場となった。オープニングに相応しい『INTRO』でその独自の世界観に引き込まれ、『Birds and Train』、『Take Me』と息をつく間もなく続く完成度の高い演奏にただただ夢中になってしまう。変拍子にも関わらず耳に馴染む楽曲は浮遊するようなギター、巧みなリズム隊、そしてなんと言ってもアチコの透明でありながらも芯のある唯一無二のボーカルによって創り上げられている。5人でやることの必然性を証明するような堂々たるパフォーマンス。ゲストにfresh!のSaxである中村を迎えての『Marine』『Flapper』も美しく、光が射すような儚くも力強い演奏で素晴らしいステージであった。

この日のラストを飾ったのはAPOGEE。『ロードムービー』、『夜間飛行』と始めから次々と繰り出されるキラキラとした楽曲達。音数が多く難しいことをしているのに気持ち良く聴かせてしまうのはバンドの手腕であり、「シンプルに良い唄を届けたい」という彼等の意志が伝わってくるようだ。 APOGEEのライブではお馴染みとなっている電飾がささやかに輝くのも相まって、ゆっくりと会場が暖まっていく。『GIRAFFE』から『Reflection』への流れで一気に上り詰めたところで『Slowmotion』。インディーズ時代からの意外な選曲に驚きつつも、その緩やかでしとやかなメロディーに心を委ねるように聴き入ってしまう。ラストはどこまでも伸びやかなボーカルが映える『Just A Seeker’s Song』。アンコールに応えて登場した彼等、「懐かしい曲をやろうと思います」というMCに続いて演奏されたのは『Obsession』。会場の熱を全て受け止めるかのようなステージ、包み込まれるように暖かな雰囲気の中で幕は閉じられた。

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