ロマンポルシェ。
定刻での開場に合わせて『申し訳ないと』ミックスCD発売間近のミッツィー申し訳&宇多丸申し訳JrによるDJがスタート。徐々に埋まってゆく会場には両DJによる厳選された極上のJ-POPにステップを踏む人々の姿が。ROCKもPOPSもHIP-HOPも何の境界もなく踊れる『音楽』なのだと改めて思い知らされる。2人の魔法のようなDJによってミラーボールが回るフロアはダンスホールさながらだ。
照明が落ちると、いきなり主役のロマンポルシェ。が登場。ロマン優光は怪しいマントを身に纏い、掟ポルシェは熊の着ぐるみを被って現れた。すぐさま掟は得意の捲くし立てるようなネタだらけのしゃべりを繰り出し、「肉ばっかり食べると胃にホリープが出来る!」とどこからか取り出した出刃包丁でキャベツを千切りして客席に投下。もう全然意味がわからないと圧倒されっぱなしの観客を尻目にライブへと突入した。『モルタル王子』『暴走金色夜叉』と2曲立て続けに演奏。Vo掟の激しい振り付きの非常にテンションの高いパフォーマンスと、ロマンのお菓子をつまみながらの脱力プレイ(時々ディレイをかけたり驚きの高域ファルセットコーラスをしたり)が奇妙にマッチしたステージングで会場を沸かせる。次は何をやってくれるのかと思うと一瞬たりとも気を抜く事が出来ず、非常に悔しいけれどステージに釘付けだ。その後もひたすら思い込みによる捻じ曲がった価値観に基づく男気溢れる楽曲と説教が続き、また彼等のライブでは定番の説教コントで会場を爆笑と失笑の渦に呑み込んだ。『男は橋を使わない』、THE STALINのカバーである『解剖室』でライブはひとまず終了。
SEが流れると同時に会場からは手拍子が起こり、ステージにはBEAT CRUSADERS。「大変おまん…たせいたしました」といつもの調子に笑ってしまう。しかし一曲目の『JAPANESE GIRL』が高らかに鳴らされた瞬間、一気に会場を彼等の色へと変えてしまうのには流石としか言い様がない。どこまでもキャッチーなメロディーは誰も置いてはいかないし、それを求めるように拳と歓声を上げる観客によって会場の一体感と熱気は最高潮へ。後半にはロマンポルシェ。の『親父のランジェリー2』をバンドヴァージョンとしてアレンジし、ロマンポルシェ。と共に演奏するというサプライズも。総勢7名によるステージは正に圧巻で、何よりもやっている本人達がとても楽しんでいる様子が印象的であった。
客電が落ちると掟とRomancrewの将絢がサブステージに登場、そうROMANZである。掟がヤフオクで落としたというパジャマのようなペアルックが笑いをそそるものの、息の合ったラップはお見事。真剣に馬鹿なことをやれる大人ってなかなかいないし、本当にかっこいい。MCでも強引に盛り上げてしまうふたりの手腕には驚かされた。
暗幕が開くとシークレットゲストとしてまさかのPerfume!大きな歓声が上がり、『ポリリズム』でライブスタート。テクノポップできらきらしたトラックに、とにかくかわいいダンスと歌声を乗せて観客を魅了する。反則モノの弾けんばかりの笑顔を振りまかれると、もう彼女たちを好きにならざるを得ない。
ライブ後はデビュー前から彼女たちをプッシュしてきたという掟を迎えてのトークとなって、4人での思い出話に花が咲く。途中には話に飽きたあ〜ちゃんがロマンのディレイ装置を勝手にいじり出すという自由すぎる展開もありつつ、終始楽しく和やかな空気でPerfumeはステージを去った。
最後にロマンポルシェ。が再登場。『首なしライダー』、『ロマンポルシェ。のテーマ』の二曲を演奏し、この日のライブは全て終了となった。勘違いをそのままエンターテイメントまで昇華してしまうのはロマンポルシェ。の凄みであって、好き放題やっているのだとしてもそれは芸術の域に相当するんじゃないかってくらいだ。とんでもないものを目撃してしまった。最高に楽しい夜でした、ありがとうロマンポルシェ。