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ROVO/GOTH-TRAD

ROVO/GOTH-TRAD

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GOTH-TRADはBGMに溶け込むように登場し、会場の思考を停止させた。ドラムにMUROCHINを迎えてのライブセット。高音のように饒舌な低音に、低音のように不気味な高音が被さる。観客が自由に体を動かしながらも意識を下へ下へと集中させていくのは、足先から伝わる、感情を排除する重低音を逃がしたくないからではないか。

程なくしてROVOの6人が姿を現す──その瞬間から、彼らに寄せられた絶大な期待と完全な信頼を知ることができる。それらに応えようと努めるでもなく受け流すでもなく、歴然とROVOは在り、『SPICA』、『SUKHNA』が在った。圧倒される、という表現は正しいのだろうか。高度な演奏力を誇りながらも、彼らには観客を圧倒する威圧感もなければ囲い込もうとする媚びも一切ないのだ。ROVOはROVOの音楽を提示するだけである。ここからは未音源化の新曲が続く。まずは、各楽器の発する音の生々しさが際立つ2曲。それは恋しい悲しいなどの、ありふれた感情の発露ではなく、ただただ音楽そのものであった。感情それ自体の存在を疑いたくなるほどの純度で、ROVOの音楽は響き続ける。さらに、勝井祐二のヴァイオリンが贅沢な最新曲も披露される。彼が演奏中、そして客席を見回して、何度か大きく頷いたのは印象的である。そのまま7拍子の曲を経て、身動きを禁じられたかのように荘厳な導入があり、多めの余韻を残して本編は終了する。

アンコールは『NA-X』。そして、止まない要望に応えて「珍しいんですけど」と言いつつ再登場。披露された『極星』に歓声が上がる。芳垣と岡部のドラムに山本と勝井のツートップが冴える、2007年のツアーの最後を飾るのに相応しい曲であった。

2008年の初ライブは2月23日の「濱Jam」、そして、恒例の5月5日の日比谷野外音楽堂での公演が、来年も決定したことが伝えられた。「野音で待ってますよ。(勝井祐二)」

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