あらかじめ決められた恋人たちへ
なぜ出会ってしまったのだろう? ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?
そんな“ニクイ”やつらをご紹介。
今回は4月6日にリキッドルームにてワンマン・ライヴを行う、あらかじめ決められた恋人たちへの池永正二が登場。
ここ最近のライヴでは、バンド編成に加えて、映像や照明、そしてライヴPAがふたりと、他に類をみない大所帯のプロジェクトとなった。音と光が混然一体となって迫ってくる様は、まさに空間全体をダブワイズしたかのような圧巻の風景をフロアに作り出す。
ダブやロックなどさまざまなサウンドが入り交じる、あら恋のサウンドを生み出した10枚とは? そんな“ニクイ”人生を狂わせたやつらをご紹介。
池永これはね。“星のラヴ・レター“という曲が好きで。「夢で会えたら」という番組で、バンドでみんなでカヴァーするみたいなのがそこであって、すごい良い曲だなと思って。これもまたレゲエなんですよね。“ラヴ・レターを3回も書き直す”という歌詞の曲なんですよ。バンド・ブームのなかでも、じゃがたらまでは濃くないけど、いろいろなワールド・ミュージック的な部分があるバンドというか。なんかメインじゃないところで、かといってアンチメインってわけではなく、自分らの場所をもってやっている感じ。そういうスタンスの匂いも、いま考えたら繋がっているなと思って。
── いわゆる、単なるポップ・ミュージックじゃないというか。
池永それこそ、その後の“島唄”みたいな沖縄の曲でヒットさせるなんてないことですからね。これを聴いてたのは中2ぐらいの時期かな。いちばんシンドイ時期ですよね、サブカルに行っちゃう人だと(笑)。
── いろいろ思い込みもあって、現実の差もあって(笑)。
池永そこに当時のダウンタウンのひねくれた感じのお笑いが良かったんですよね。大阪だと「4時ですよ〜だ」もやってたんで。いわゆる新喜劇とかとは違うニューウェイヴな感覚というか、斜に構えた感覚というか。
── いま思うと濃い番組でしたよね。ちなみに音楽以外で、お笑いとか自分をかたち作ったものって他にあるんでしょうか?
池永あとは映画も大きかったと思いますよ。わりと普通のですけど、スピルバーグとかすごい好きでしたよ。
── このあたりは、音楽を自分でやるとかそういう部分ではなく、いま思うとなんとなく残っている音楽という感じですよね。
池永そうですね。バンドはヤンキーがやるものだと思ってましたよ、「僕がやって良いのかな」なんて。なんというか、間の世代というのがあって。上の世代はガチガチの上下関係があって、下はそういった関係が崩れていて。うちらはそのグラデーションのパートというか。シロー(ザ・グッドマン)くんとかと話してたんですけど、変わり目な世代という感じがずっとあったんですよね。今思えばどっちも経験できたのでよかったのかなと思います。
── ここからはいまの音楽性にも関係がありそうですよね。
池永これは高1か、高2ぐらいに買って。
── リアル・タイムですか?
池永ほぼですね。ジャケットがすごくて、よく見るとクリリンとかいるんですよね。
── 3Dとかカンフーみたいなポーズしてるし。
池永でも、あのジャケットの感じで聴いたら全然、想像と中身が違って(笑)。「パーン」とか「コココーン」とか鳴ってて。「これがダブや」って、「すげー」って。いわゆるレゲエとかを意識して聴く前に聴いてるんですよね。なんかわけわからない感じの「カーンカンカン……」ってデレイが収束したと思ったら、マッシヴ・アタックのあの独特の雰囲気ではじまって。まずびっくりして。ここからルーツ・レゲエとか聴き出したというか。
池永まず、1番はじめに買ったアルバムは安全地帯だったんですけど……その次というか、ちゃんと好きになってはまったバンドは桑田バンドだったんですよ。小4ぐらいで。いちばん好きなのは“Merry X’mas In Summer”という曲で、最近聴き直したらレゲエなんですよね。じつはここが自分のルーツなんかなと思って。桑田圭祐特有のメランコリックさとかも含めて。
── 10代後半とかだと、小さい頃聴いてた歌謡曲とか聴かないのが、ある時期を超してから、こういうのを聴くと、いろいろ気づくことってたまにありますよね。80年代の歌謡曲って、意外とバックトラックがディスコだったり、エレクトロだったり、レゲエだったりってありますよね。
池永ありますよね(笑)。
── あのクリアでハイファイな質感も味というか。
池永あの80Sのゲート・リバーヴの感じっすね。イイ曲なんですよ。
── いろいろ自分で歌謡曲なんかを買いはじめた頃のなかで、いまでも残っているものがコレというか。
池永そうですね。はじめはテレコでテレビの音を録ったやつで聴いてて。
── 母親の「ごはんよ~」みたいな声が入ってしまうみたいな。
池永うちは妹の声が入ってました(笑)。テレビのベストテン番組見てても、桑田バンドってなんか異質な感じがしたんですよね。