揺らぐ日差しが照らし出した、Fazerdazeという清明な白昼夢
ニュージーランドを拠点に活動するアメリア・マーレイのソロユニット・Fazerdazeより、この夏最も眩しいギターポップアルバムが届いた。彼女の1stアルバムとなる[Morningside]は、昨年末よりたて続けにリリースしていたシングル3曲を含む、この季節ぴったりの初々しくも穏やかなデビュー作となっている。
Fazerdazeの音楽との出会いは、毎回良質な作品をリリースしているTugboat Recordsから届いた1通のメールを機に始まった。メールに添え付けられていた、ロンスケを乗りこなすFazerdazeをノーカットで捉えた”LITTLE UNEASY”のミュージックビデオを一目観て、白昼夢の中の様な心地良い違和感を覚え、彼女の動向を追った。
その後発表された先行シングル”Lucky Girl”は、彼女自身が編集を務めたというキュートなミュージックビデオが話題を集めている。大胆なカットアップ&リピートの手法が、観る者に強烈な印象を残しながら音と映像の交差が見事に進んでいく。
“あなたがどこかへ行ってしまうんじゃないかと/そんな考えが日々強くなって/疑心暗鬼している/何を信じればいいのかな/それでも時々、あなたに興味がない/そんなフリをしてしまう”(同曲和訳)と、疾走感のあるドリーミーサウンドの上にリアルな乙女心が重なった、新たなガールズアンセムが誕生した。
端正な容姿にノイジーなギターサウンド、波うねる様にメロディアスなフレーズ。所謂90年代的要素を備えつつも、普遍的なデイドリームを創り出すFazerdaze。タイトルの[Morningside]は、彼女自身が最終的なホームだと思うというニュージーランド郊外の地名で、様々なロケーションで行ったレコーディングの最終的な終着地点でもあるそう。
僕が運営しているBOYというショップでは、アパレル以外にCDやレコード等の音楽タイトルを置いている為、実際に御客様からの反響を、購買という形や会話というツール、又はSNS等でも直接的に受け取る事が出来る。
毎タイトルとの相性もあるし伝え方も重要であるが、Fazerdazeはリリース前から早耳リスナーを中心に非常に強い反応を得た。
ここ数年、国内外ともにローファイで生々しいインディーポップへの支持の高まりを感じていて、最近だと米のGirlpoolやHazel English、日本でもTAWINGSを筆頭に自然派生するガールズバンド達が、一言でシーンと括られ辛いサウンドを鳴らしている事が非常に面白い。
Fazerdaze [Morningside]。どこまでも安らかでありながら、揺らぐメロディーに寄り添う様に、これからの夏を涼しくしてくれる1枚である。