ミツメが描く光と影
text by 上杉江美
『A Long Day』を色で例えるなら青だと思う。空や海といった自然を感じさせる青。夜を感じさせる深い青。孤独を漂わせる濃い青。色んな青が思い浮かんだ。色んな青はつまりミツメがもっている色んな顔で、アルバムを通して知るミツメの新しい表情に何回だってどきっとさせられる。
ミツメというバンドはまるで部室。青春のような美しさと懐かしさと儚さを秘めている。しかし、『A Long Day』には青春を通り越した大人の焦りや不安が描かれている。例えば先日MVが公開されたアルバム１曲目の「あこがれ」なんか、ミツメらしいポップなメロディーだけれど、その歌詞はあまりにもストレートに羨望や悔しさを書いていて、なんだかまっ暗な部屋の隅で体育座りをしているようだ。そのメロディーと歌詞が作り出している繊細な絶妙さと透明さに、心の奥の方をひっかかれるような感覚を覚えて、はっとする。
このアルバムではきっと今のありのままのミツメをさらけだしている。それはすごく勇気のいることだし、バンドで演奏することにこだわってほとんど楽器の音だけでアルバムを作ったことは大きな決断だっただろう。そう考えると、忙しくて、憂鬱で、あるいは退屈で、気持ちが晴れない長い１日の、『A Long Day』というタイトルにずしんと重みを感じる。
アルバムをきき進めると、川辺さんの歌声がだんだんぽつりぽつりと言葉を漏らすようにきこえてくる。ながあい物語にひきずりこまれて、最後の音が鳴り終わっても体の中にまだ音が響いていて、決して終わりがみえずに抜け出せない。
ニューアルバム「A Long Day」から、「あこがれ」
CD詳細⇒
http://mitsume.me/discography/alongday
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いよいよ今週末開催！
▼5/27(金)
Song For A Future Generation
featuring
ミツメ
蓮沼執太
Taquwami
jan and naomi
TOYOMU
チケットは公演前日まで販売中！
