喜びに包まれ僕らは踊る
曽我部恵一、2年半ぶりのソロアルバム。怒りと切なさを内包したその音楽はまさにロック!だが、ここで注目すべきは曽我部恵一の持つダンス感である。つまり、踊れるロックに仕上がっているということ。このダンス感、グルーヴ感はいったいどこからくるのだろうか?もちろん、アーティストの豊かな音楽性の賜物だろうが、ちょっとダンス入れてみましたというような安易さ、嫌味をまったく感じさせないのである。極自然にダンスミュージックとして踊れる作品。それは曽我部恵一の音楽的スタンス、ライフスタイル、自然体の音楽としての結果である。全国各地を回り、ライヴを積み重ねる中、身につけた圧倒的にリアルな現場感。20年間の経験に裏打ちされた説得力をもった音楽。極私的でありながらふとした瞬間に入ってくるその歌詞、ハッとされる言葉の世界。本当の才能に触れる喜び、曽我部恵一と同じ時代を生きる喜び、そんな喜びに満ちたアルバム。それは朝5時のダンスフロアのように多幸感に包まれた音楽、この時代に生きることを肯定的にとらえた音楽だ。