映画『おおかみこどもの雨と雪』の挿入曲や主題歌、CM音楽、彼のデビュー当時の作品まで。 これまでのアーカイヴスをひとつに収めた『おむすひ』。 ひとつの作品で完成された一世界を作り上げる彼のスタイルから離れて 高木さんが歩んできた道や出逢ってきた人達を、 私たちが曲を通してたどっていくアルバムだ。
人には様々な顔がある。考えることも日によって違う。
出会う人に影響され、感謝しながら、その都度新しい視点を手に入れる。
毎日ちょっとした変化を繰り返しながら、小さな挑戦を繰り返していく。
人間らしさとでも言うのだろうか。
『おむすひ』は、そんな人間らしさが感じられる。
例えば、
ピアノに指を降ろして、初めて音符が正体を現したかのような旋律の躍動感だとか。
曲が合唱団の歌声を介して予想のつかないユニークなところにずんずん進んでいく面白さだとか。
世界中で一つの曲をローカルの人とセッションし録音したLight Songシリーズは、
或る時間の景色や空気を新鮮なまま切り取っていて。
曲そのものが息をしているかのようで、思わず笑みがこぼれてしまう。
高木さんは、自身のアルバム全曲解説でこんなことを書いていた。
(http://1fct.net/archives/5586 以下抜粋)
言葉って、いまは文字があるので、文字のイメージで捉えてしまいますが、元々は音からはじまってます。
漢字には、音読みと訓読みがありますが、音読みというのは中国の漢時代に使われていた音。
訓読みが日本で古くから使われていた言葉の音です。
言葉は“音”と“文字のイメージ”に分けられる。
音楽には、音と言葉の両方が存在する。
音は人の感覚を直接振るわせて。音が繋がり文字と認識されるとイメージを抱かせる。
“音”を意識してもう一度『おむすひ』を聴いてみる。
お茶目で愛くるしい世界がそこには広がっている。
何だか高木さんの人柄が見えた気がして、更に彼の音楽が好きになった。