ポスト・パンクにおけるクラウト・ロックの影響力を物語る1枚
シンプル・マインズの『Sons and Fascination』と同じ運命を辿ったようなウルトラヴォックス『システム・オブ・ロマンス』です。
しかも、このアルバムはコニー・プランクのスタジオで録音されてます。みんなどんだけ、クラウト・ロックにやられていたんだという感じです。
音いいですよ。出だしのシンセの音から鳥肌もんです。ベースの音も、ギターの音も全て最高です。このアルバムもまたエレクトリック・ポップの頂点ですよね。シンプル・マインズよりも3年も早い時期に作ってます。
こんなに凄いアルバムなのに、売れなかったのです。このアルバムの後、ヴォーカルのジョン・フォックスが首になったのか、辞めたのか、定かではないんですけど、元リッチ・キッズのミッジ・ユーロを入れて作ったアルバム『VIENNA』がバカ売れ、『VIENNA』よりも『システム・オブ・ロマンス』の方が、何百倍もヨーロッパで、エレガントで、ミステリアスなのに、世の中どうなっているんだという感じです。
『VIENNA』もコニー・プランク、プロデュースなんですけど、僕にはなにひとつおもしろい所がありません。
今でいうギャズムって奴ですね。ちょっと大衆はズレているんです。
供養だと思って聴いてください。
パンクとアレックス・ハーヴェイなシアトリカルというか、ポスト・グラムというか、そういうものがリンクしていた事の証拠のような1枚目『ULTRAVOX!』もジョン・フォックスのメッセージが明確に出ている2枚目『HA! HA! HA!』もいいです。『ULTRAVOX!』を聞いているとニュー・ロマンテックスの仰々しさというのはアレックス・ハーヴェイからきているんだなと思います。いまやなんでもヒットさせてしまうブライアン・イーノもこの頃はズレていたのですかね。ブライアン・イーノは『ULTRAVOX!』のプロデューサーはイーノでしたけど、売れなかったです。
『ULTRAVOX!』、『HA! HA! HA!』、『システム・オブ・ロマンス』の名曲が全部入った『スリー・イントゥ・ワン』でもいいんですけどね。時代の変化を感じるには別々に聴いたほうがいいかもしれません。