bonobos/tobaccojuice
世の中では日々様々なイベントが行われているが、この組み合わせを待ち望んだ人はとても多かったのではないだろうか。確固たる世界観を持ってして、私たちを現実から何処か違う世界へと誘ってくれるようなこの2バンド。こんな素敵なイベントに間違いがあるはずないでしょう。
先にステージへと現れたのはtobaccojuice。『ドリームス』で緩やかに優しく始まったライブ、鳴らされる音楽にそのままゆるりと身を任せる。『幻メルヘンシティー』へと繋ぎ、Vo.松本の「俺の地元の歌だよ」というコールの後に披露されたのは『工場町』。PVにもなったこの曲は彼の地元時代の想い出話を聞かせてもらっているような、親密な気分にさせてくれる。続いて新曲の登場、どこか静けさを持つ楽曲にディレイの効いた松本の声が絶妙に相まって徐々に研ぎ澄まされてゆく。ここまでのセットリストは青い空を仰ぐように開放的だったのが一転、内へ内へと響いていくような新曲に少し驚かされつつも集中力が一段と高まる。その流れを受けての『HEAD LIGHT』ではバンドのグルーヴが一丸となって大きな渦を作り、テンションの高まったGt.大久保がソロ中なんとアンプの上に!会場も沸き立ち、続く『枯葉』でも神秘的とも言える異空間を作り上げる。しかし松本がギターを持ち、『ダイヤモンド』が始まった瞬間にまた空気ががらりと変わり、大切な時間を愛でるように演奏されていく様に会場はほっこりと温まる。忘れかけていた素敵な想い出を重ねてしまうような、自然と耳に残る優しい歌詞がすとんすとんと染みてゆく。人懐っこいメロディーに心がくすぐられる『ガーベラ』に続いてはまたも嬉しい新曲で、こちらは初めて聴いたというのにすっと身体に馴染み自然と踊ってしまう楽曲に仕上がっていた。そして最後は名曲『HEADPHONE GHOST』。切ないメロディーに幻想的な歌詞が光るtobaccojuiceの真骨頂とも言えよう。きらきらとした余韻を残して4人はステージを後にした。
続いてはbonobos。SEが鳴り出すと会場中から手拍子が始まり、彼等の登場を温かく迎える。「bonobosです!」という短い挨拶の後に一曲目の『ファンタスキッス』。ゴキゲンなダンスチューンにお客さんが楽しそうに手を降り踊っていたのが印象的。続いての『グレープフルーツムーン』、『あの言葉、あの光へ』では優しいスローナンバーに幻想的な照明の混ざり具合も絶妙で、bonobosが創り出す空気感に会場が柔らかく包み込まれていく。心地良い演奏に溶けては染み馴染むVo.蔡の唄声が映えて、本当に心から音楽を楽しみ気持ち良く踊りたゆたうことが出来る。続いて登場の新曲『Slower World』。アップテンポで心が躍るこの曲では実際に踊るお客さんも多く、温かく楽しい気持ちを共有出来る歓びを噛み締めるような演奏に笑顔が溢れていた。オレンジの照明に染まった会場が音に合わせてゆらりゆらりと揺れる様が一枚の絵のように見えた『あまい夕暮れ』。その後に披露された『Night Apes Walking』ではダブ的要素を多く持った楽曲に夕暮れから一気に真夜中へと連れて行かれたようで、気持ちよく音に酔い痴れる。Vo.&Gt. 蔡のソロからはじまった『Standing There~いま、そこに行くよ~』ではサビでお客さんとの合唱になり、それはとても素敵な光景であった。本編ラストに持ってきたのは『Someway』、疾走感のあるノリノリなダンスナンバーにフロアの温度も最高潮に。
鳴り止まぬ拍手に応えて再び登場した面々、アンコール一曲目は『あ、』。“まだこの音楽という夢は終わらない”と囁くような浮遊感漂う楽曲。そして「音楽最高!!」とのMCを受けて最後はやっぱり彼らの代表曲『THANK YOU FOR THE MUSIC』。もう説明不要の祝祭歌で会場も巻き込んでの大合唱となり、笑顔で幕を閉じることとなった。
この日はなんといっても平日にも関わらず来てくれたたくさんのお客さんの笑顔が素敵で、幸せに満ち溢れた素晴らしい雰囲気だった。音楽には魔法が掛かっているのだということを体感させてくれた2組。何とも素敵すぎる夜でした、“ありがとう”。