VOLA & THE ORIENTAL MACHINE
11月に始まった全国ツアー”Halan’na-ca Darkside Tour 2008″が今夜恵比寿でファイナルを迎えた。10月発売された9曲入りNeo EPの名前を冠したツアーではあるが、製作当時とツアーを回っているバンドの状況は明らかに違う。EPを最後の参加作品として青木裕が脱退、そして新ギタリストとして12月に正式加入した楢原英介を迎えた、という大きな変化を経たVOLAに対する期待を持って今夜を迎えた人も少なくは無いだろう。
大きな対バンツアーとして全国を回った今ツアー、ラストを飾るこの夜のゲストは他所での共演も経ての再会となったLillies and RemainsとMONICA URANGLASS。暗くなった会場でスタートを待ちわびる歓声に迎えられたMONICA URANGLASSは、シンセサイザーを中心に、いびつなのに快感をもたらすトランスのハイの部分とロックのグルーヴが絡み合い、ぶつかりあうハイテンションな不協和音が拡散しながらも、底知れぬ湿気が音に滲ませていた。Lillies and Remainsはエッジの利いたギターが印象的な、不穏なグルーヴを醸してはタイトに音を巻き込んでいく。佇まいの不敵さがヴォーカルを通してフロアに放たれていた。
セットチェンジの度に幕が下り、DJがフロアを沸かせ続ける今夜、ついに最後の幕が開いた。ステージには設置されたスクリーンに『VOLA & THE ORIENTAL
MACHINE』との文字が映し出されてのメンバー登場。首にカオシレーターを提げて登場したアヒト イナザワは一曲目の「self-defence」でその機械を弄り、マイクを手にして歌いだした。縺れ込んだ二曲目「An Imitation’s superstar」もNeo EPからの披露。ハイテンションに踊るように歌うアヒト、以前にもましてダイナミックで野性的な魅力を湛えるドラムにビートを刻みまくるベース、そこに絡む楢原のギターは余りにも違和感なく、曲に寄り添いつつもプレイヤーとしての魅力を存分に呈していた。スクリーンの映像もステージにギラギラとした彩りを添えている。添えている、とは言っても音、映像の片方がメイン、もう片方がサブ、というステージでは決して無い。音に潜む猥雑で雑多、底知れぬ意識の薄暗さと、ある種神経質な無機質さを感じさせる世界をアニメや実写、キッチュでパロディ的な映像が音と共存することで空気として会場を満たしていた。
「東京 都民の 皆様、VOLA & THE ORIENTAL MACHINEが ミッドナイトを お知らせします」アヒトの時報アナウンスの一瞬の静寂がオーディエンスの熱狂を盛り上げた「MIND CONTROL」後のMCで、アヒトから楢原の紹介がされた。会話のやり取りからも演奏に違わず強烈な個性の持ち主であることが伝わってきた。かつての VOLAに愛着を持つ身として、無意識に青木のギターと新加入の楢原を比べてしまう場面は何回かあった。演奏される曲が判るとすぐさま、青木のフレーズを記憶が勝手に再生してしまう。それだけに彼のフレーズ、演奏は独創的でオリジナルの魅力に溢れていた。青木在籍時に作られた曲の中にはアヒトと青木のギターの絡み合いが余りに魅力的な部分がいくつもある。しかし、楢原のギターは今までの音像に描いていたVOLAの魅力、世界を微塵も崩すことなく、新しい魅力をバンドにもたらしていた。音源として完成した曲たちが、どんどんと新しい旋律で塗り替えられていく。VOLAの音楽が新加入ギタリストを経てどんどんと広がっていくであろうこと、今まで以上に魅力的なものになるであろうことがひしひしと伝わってくる。
そして、何よりアヒトのモチベーションが半端無く高いことが見て取れる一夜だった。二度目のMCの後の「soft genoside」ではステージを縦横に動き、踊り歌いながら、下手の方のフロアへとダイブ。ギターを持たずにマイクを手にして歌う場面も多かったが、全身で歌う様、くねくねと踊りながら歌うその姿はヴォーカルだけでなくまさに全身からライブに対する気合い、熱意が迸っている様だった。
強固な結びつきでバックを刻む鉄壁のリズム隊、その揺るぐことの無い土台の上で軽やかに応酬される二本のギター。その音色はこの四人で進んでいくことに対する期待をリスナーに見せ付けてくれた。バンドの現在と未来を思わせてくれる、頼もしい、充実のライブだった。
今年は残すところBEAT CRUSADERS主宰のオールナイトイベント一本、COUNTDOWN JAPAN08/09への参加、年明けには”volcano09 -CLUB SNOOZER-“への出演も決定。年内にも新曲登場を宣言しているVOLAの今後の活動に乞うご期待!!
01 self-defence
02 An Imitation’s superstar
03 principle of machine
04 FOOD’S NEXT
05 MIND CONTROL
06 新曲
07 夢診断
08 Internal division
09 soft genoside
10 comeback in darkness
11 Mexico Pub
12 A communication refusal desire
13 ORIENTAL MACHINE
en.
14 Double Standard
15 Song of Ruin