藍坊主/UNISON SQUARE GARDEN/kamomekamome
3バンドひしめく、6周年の宴
リキッドルーム6周年のアニヴァーサリー・イヴェント第5回目に選ばれたのは、藍坊主、ユニゾン・スクウェア・ガーデン、カモメカモメの3バンド。
先手を切って飛び出したのはカモメカモメ。妖しく光る赤黒い照明がなんとも似合う。激しく重々しいドラムを中心に、深く底から叩きだすように響かせるベース、ハイスピードでエッジの効いた攻撃的なリフが魅力的なギター、吠えるような強烈な力のこもったヴォーカル。軽い気持ちで行ったらたじろんでしまうほどの力強いステージに、思わず「かっこいい……」と口からこぼれてしまった。
それなのに、最初のMCにて開口一番、「すいません~!」と謝る向。どうしたのかと思ったら、「なんでここにいんの? って感じですよね。みんな藍坊主とか見に来てるんでしょ? これ10対0の交通事故! 俺たちが10でお客さんが0。ほんとすみません!」なんて。謙遜するにもほどがある!
オーディエンスもみんな私と同じ気持ちだったようで、再び音が鳴りだすと、先程のMCを撤回させるがごとくフロアから高まった熱が溢れる。切ないアルペジオからはじまる“事切れ手鞠歌”に続けて“この時期のヴァンパイア”から“髪を結った部屋”まで、新譜から曲順に逆らわず披露。ヴォーカル向の歌声には、一言一言に魂が宿っていて、びりびりとこころにぶつかってくる。気付くと完全に圧倒されていた。荒々しいステージだったが、締めの“ハッピーリバースデイトゥーユー”でラストに掲げられたピース・サインには温もりが込もっていた。
追って、ポップなSEで元気よく登場したのはユニゾン・スクウェア・ガーデン。
1曲目の“メッセンジャーフロム全世界”から飛ばしまくり! 毎回思うが、本当に楽しそうにライヴをするひとたちだ。このステージを見ていると、自分もどんどんどんどん楽しい気持ちが増していく。今回も、ユニゾンのライヴの魅力のひとつであるベース田淵の動きっぷりも絶好調で、首を振り回し足を振り上げ縦横無尽に暴れまわる。
「今日は他にもかっこいいバンドが出ているけれど、僕たちは僕たちのやり方でまっすぐに音を届けたいと思います! みんなもついてきてくれ!」と放ち“デイライ協奏楽団”“キライ=キライ”と人気曲を連発。続いてParty Styleにアレンジされた“MR.アンディ”。アッパーなダンス・チューンにフロアのテンションも最高潮! 楽しげなハンドクラップがフロアに響いた。
ラストを飾った代表曲のひとつ“センチメンタルピリオド”終盤で、立ち上がり、まさかの素手まで使ってシンバルを叩き上げる鈴木。全力で、すべてを出し尽くす! といった気迫のみえる圧巻のステージだった。
そして「トリらしく、最後に最高のライヴを見せます!」と、さすが気合十分の藍坊主。序章として奏でられた“Esto”から、もう拳を振り上げ力強く歌い上げるhozzyの声と煌びやかな音色に包まれて、藍坊主の世界に取り込まれてしまった。
懐かしの“螺旋”のポップなメロディーに合わせて頭をブンブン振り回すhozzy。それに誘われ、会場はぱっと明るい雰囲気に。かと思えば次の“ベンチで手紙を読む老人”では一転して一気に妖しい空気に変わる。ころころと変わるステージを見ているうちに、まるでドラマを見ているような感覚に陥ってしまった。
「みんなの熱気がすさまじくって……。入ってきたときからもうシンバル湿ってて(笑)。“やるしかねえー!”って思ったよね!」という渡辺の声に、沸き上がる会場。そして、“伝言”“言葉の森”と、藍坊主お得意の人間味と希望に満ちた曲を連発。きらきらした音のアンサンブルとやさしい声が染み渡り、まさにストーリーのクライマックスといったステージに、瞬きすら惜しくなる。「これで最後の曲です!」会場を煽りながら盛大に演奏された“ハローグッバイ”では、ピアノの音色も重なり美しく眩しい、音のケミストリーがおこっていた。
(知念正枝)
<セットリスト>
■kamomekamome
1.エクスキューズミー
2.ハンズフリーからのお知らせ
3.スキンシップ編
4.事切れ手鞠歌
5.この時期のヴァンパイア
6.エスケープ終了
7.局地的に物語れ
8.髪を結った部屋
9.病棟駆ける息
10.ハッピーリバースデイトゥーユー
■UNISON SQUARE GARDEN
1.メッセンジャーフロム全世界
2.カラクリカルカレ
3.cody beats
4.デイライ協奏楽団
5.キライ=キライ
6.MR.アンディ
7.箱庭ロック・ショー
8.アイラブニージュー
9.センチメンタルピリオド
■藍坊主
1. Esto
2. ラストソング
3. 深く潜れ
4. 螺旋
5. ベンチで手紙を読む老人
6. 伝言
7. 言葉の森
8. ハローグッバイ