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SEEDA

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ラッパーとしてさらなる高みをみせた、SEEDAのワンマン

「リキッドルームという箱に対しての因縁が僕にはあって。そしてこのタイミングでチャンスがきた。だから絶対かましてやる。この日は持ってるエネルギー全部をぶつけたいと思う。練習もしてるけど、なによりも気合いを見せてやる。そういった因縁のあるリキッドでだったら、最初か最後かわからないけどいま一度気合いの入ったライヴをかませるんじゃないかなと」

 今回のリリース・パーティー前のインタヴューでSEEDAはこう語った。詳しい“因縁”についてはインタヴューを参照してもらうとして、とにかくこの日のライヴで彼が秘めた“気合い”を感じ取れなかったオーディエンスはいなかっただろう。DJ NOBU a.k.a. BOMBRUSHが幕前DJを務め、ほぼ定時にスタートしたショーケース。会場は序盤から最大限の盛り上がりを見せた。前アルバム『SEEDA』収録の“HELL’S KITCHEN”をサイプレス上野とスピット。バックDJにDJ TYKOHを従え、その後もサ上とSEEDA曰く“いま一番ヤバい若手MC”であるRAU DEFを迎えての“不定職者Remix”を披露。SCARSの盟友bay4kも登場し、“Homie Homie”では気の置けない信頼関係を垣間見せる。曲間でも折に触れて楽曲が持つメッセージや当時の状況を語り、ラッパーとしての真摯な姿勢を覗かせるSEEDA。続く新作『BREATHE』収録 “Lights”では客演として迎えたleccaとともに共通の友人であるBESの話題(来年には活動再開を予定しているとのこと!)にも触れつつパフォーム。「またひとつ明りが灯る/なにもなかった空に/たったひとつがライフになるって気付いたあの夜から/こんな自分でも夢を見ていられる/ここはDreamin’ Dreamin’ Town/繰り返すUps And Down」というポジティヴなフックを歌う2人と聴衆の様子がなんとも美しい。爽やかなトラックが印象的な“Alien Me”でもそのヴァイブスは引き継がれ、清々しい清涼感が会場を包む。ここでSEEDAは一旦ステージを降り、DJ卍による演説を挟んで第2部がスタート。前半の客演陣を多く招いたバラエティ豊かなステージとは対照的に、後半部はSEEDAとDJ TYKOHの2人だけのストロング・スタイルなヒップホップ・ショーケース。タイトかつアグレッシブなステージングから前述した“気合い”を感じ取れる。新作収録楽曲や過去作から“Dear Japan”などを中心に、MCとしての高いポテンシャルを見せつけ、フロアを大いに沸かす。後半を締めくくる“花と雨”では亡き姉に対してのメッセージを吐露し、楽曲の美しさとともに観客の胸を熱くさせた。「マイク稼業はやることやってるヤツが正義なんだよ。昔すごかったとか、キャリアとか関係ねえの。なぁ、SEEDA。ストーリーを続けようぜ」というILL-BOSSTINOの台詞からアンコールの幕が降りる。もちろん曲は“MIC STORY”。リキッドルームをホームとするILL-BOSSTINOとともにお互い切磋琢磨するようにスピットするSEEDA。会場の興奮は最高潮に達し、続く“Wisdom Crada Remix”。観客の大歓声とともにショーは大団円……と思いきや三度ステージに戻るSEEDA。「まだ満足してねーの? どうするか……。みんなはなに聴きたいんだよ?」と問いかけ、会場から上がる「フリースタイル!」の声に「オッケー、俺は何日間でもフリースタイルできるから。じゃあ会場にいるMCはステージ上がってきてくれ!」と呼びかけ“God Bless You Kid”のオケが。SEEDAからはじまり、そのままILL-BOSTINO、サイプレス上野、RAU DEF、bay4kに加え会場に来ていた4WD、S.L.A.C.K.、PUNPEE、般若らがステージに上がりフリースタイル。誰がこんなメンツでのサイファーを予想してただろう! 最後の豪華MC陣を見るだけでもチケットを買った甲斐があったというものだ。同時に観客にとってはSEEDAというアーティストが持つ影響力やスキルを十二分に堪能することのできるパーティーであったろう。今回のこのステージで彼は自身に課した高い目標をクリアした。それを経て今後どんな作品やパフォーマンスを産み落としてくれるのだろうか。期待は募るばかりである。
(高橋圭太)

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