布袋寅泰
底知れぬ楽曲の魅力輝く第3章!!
“月刊”布袋寅泰も第3章。一回ごとに異なる魅力で持って見る者を引き込む圧倒的なライヴ・アクト。今回はどのように楽しませてくれるのか。期待に膨らむ会場は、もはや恒例ともいえる布袋コールで開幕を待ちわびていた。そして登場したのはキーボードを含んだ、Monthly Liveでは初の四人編成でのステージ。ベースはアップライトも登場と、若干シックな装いのハロウィーンの夜だった。
当然といえば当然ではあるが、キーボードが入ったことにより、楽曲は大きく変化した。楽器の数が、音色が増えたことにより曲の世界が一気に華やかさを増す。序盤のアッパー・チューンでは、跳ねるビートがよりポップに、布袋の男らしい歌声の後ろで可愛らしくすら聴こえる鍵盤の音が駆け抜けていく。布袋のギターの切れ味のよい激しさはそのままに、その音の隙間を戯れるように縫っていく音が何とも軽やかで気持ちいい。ギター、ベース、ドラム、というスリー・ピースのソリッドな演奏も堪らなく恰好良いのだが、鍵盤が加わったことによる演奏の深みも非常に魅力的だった。
その魅力は軽快さのみに留まることはない。ギター・ヒーローというイメージの強い布袋だが、中盤、『King & Queen』からの流れではギタリストと同時にヴォーカリストの魅力も遺憾なく発揮。抑えてなお感情が滲み出るようなジャジーな、渋いナンバーを、ギターを持たずに熱唱。その歌声に込められた情感を一層引き出し深めるキーボードの音色はコーラスのようにメロディック。続く布袋のギターソロでは、ギターが鳴きまくり、その歌声同様、それ以上に感じるもののある雄弁な音色だった。照明も相まってスタンディングのライヴハウスとは思えない、艶やかで色っぽい、深い世界が四人によって繰り広げられていた。
しっとりした中盤の後はこれでもかと四者四様のサウンドを織り合い絡ませ合い、のインストナンバーが会場を大いに盛り上げる。歌詞という具体的なヒントがなくても、聴覚だけからこんなにもイメージが喚起されるのか、というほど、聴くものを刺激しまくるサウンド。それぞれに魅力的なプレイなのだが、タイトでどっしりとボトムを支えるリズム隊の上を縦横無尽に行き来するギター、キーボードの旋律がインストナンバーで一層際立っていた。
アッパーな序盤からしっとり魅せた中盤、そして大団円へと向かう序盤にアンコールの全編を通じて、編成が違うだけでこんなにも新たな魅力に溢れるのか、と曲の行方から目が離せないぐらい、見るものを引き付けて離さないステージだった。ライヴでおなじみの曲も登場ながらに、新たな曲の魅力を見せてくれたマンスリー・ライヴ第三夜。各回存分に楽しませてくれ、さらに次回へ大いに期待をさせてくれる布袋のステージングが次回も楽しみでならない。(渡邉祐子)
セットリスト
BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY
TWO OF US
BORN TO BE WILD
テレグラム・サム
バンビーナ
King & Queen
MILK BAR P.M.11:00
ANGEL WALTZ
ボルサリーノ
BAD FEELING
BEAT SWEET
POISON
SURRENDER
ENCORE-1
C’MON EVERYBODY
MERRY-GO-ROUND
PHOTO BY 山本 倫子