The Mirraz
ゆるくアツく会場を盛り上げたプチ・ミイラズ・フェスティヴァル
『Top of the fuck’n world』をリリースしたザ・ミイラズのワンマン・ツアー、ラストの東京、リキッドルームの公演はユウイ、チェコ・ノー・リパブリックの2組をオープニング・アクトに迎えた豪華版!
19時ぴったりに登場し、円陣を組んで気合いを入れたファースト・アクトはユウイ。
一心に前だけをみつめているような純粋さを持つ、ゆったりとメロウな曲から、力強いドラムに乗り、髪の毛を振り乱しながらの重めのギター・ロックまで、4曲をプレイ。明るくも暗くもなく、冷たくも温かくもない、けれどとても安心できる、そんな音楽を鳴らしていた。
続くはチェコ・ノー・リパブリック。聴くだけで体を動かしたくなるようなドカドカとせわしないパーカッションと動きのあるうねるベース、クリーンな高音ギターが織り成すポップでカーニバル感に満ちた トロピカルな空間が、オーディエンスを自然と笑顔へと誘った。ポップな曲の中に混ざって、祭りの終わりのような儚げでエモっぽい曲もあったりして、バンドの濃さを滲ませた。
ユウイにしろチェコにしろ、オープニングアクトで終わらせるにはもったいのないバンドであった。このライヴでファンになったひとは多いのではないだろうか。今後の活動にも期待大!
そして待ちに待った本日の主役、ミイラズ! SEとして流されたのは、グループ魂の“しにものぐるい”というラジオ番組風に仕立てたユーモラスな曲。登場からシュールな笑いで会場を包み込む。いつもどこで手に入れるのだろう……ファッション誌に取り上げられたこともあるほどのセンスを持つヴォーカル畠山のステージ衣装、今回は黒いマントを被った、スターウォーズなどに出てきそうなスタイルだ。
アルバムのリード曲、アドベンチャー・ドラマの挿入歌にぴったりなサウンドの“TOP OF THE FUCK’N WORLD”でスタートし、2本のギターのリフが目まぐるしく交差するキラーチューン“僕はスーパーマン”がはじまると、フロアの温度は一気に上昇!その後も“CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい”、“Let’s go DISCO、そしていつもキスを”、“サーチアンドデスとロイとグローリアとアレとソレとコレと”などテンション高めのアップチューンを連発! ぐっちゃぐちゃになったフロアはまるで、ぼこぼこと沸騰したお湯のように見えた。
MCでメンバーいじり倒したり、「ツアー・ファイナルだけど、今日も別に話すことないな」とか皮肉を言ったり、小憎たらしいスタイルが逆に心をつかむミイラズだが、私が以前ライヴを見たとき印象は、客に向かって中指を立て、罵倒しているように取れていた。しかしこのステージではなんだか愛嬌が見えて「一緒になってバカやろうぜ」的なメンバーと観客との“仲間意識”が感じ取れた。
ポップなダンス&モッシュ・チューンが多めのステージを“グッバイ・・・エイジ・ダテ”で明るく締めくくった本編。そしてアンコールでは涙を誘うセンチメンタルな“シスター”、“イフタム!ヤー!シムシム!”の2曲を披露。庶民的で親しみやすい時事ネタを盛り込んだり、ギャグを織り交ぜたり、かと思えば真面目な表情で真剣に訴えかけたり、多面性を持った表情で楽しませてくれるミイラズ。リリースツアーのファイナルなのに、もう次のアルバム、次のツアーもすぐそこに決まっているというから驚き。ノンストップにもほどがある! バンドに負けず、我々もノンストップで追いかけていきたいところだ。(知念正枝)