JAMAICA
期待のルーキーJAMAICA、初の単独ツアー
ジャマイカ。名前に惑わされそうだがフランスはパリ出身、元ポニー・ポニーのアントワン・ヒレール(Vo/G)とフロー・リオネ(B)からなるデュオである。デビュー前にも関わらず、昨年は〈フジロック〉に出演、満員のレッド・マーキーを湧かせたことや、ジャスティスのグザヴィエ・ドゥ・ロズネをプロデューサーに迎えてリリースしたデビュー・アルバム『No Problem』はここ近年の新人洋楽アーティストとしては異例のセールスを記録している……などなど、とにかく大注目されているアーティストだ。今回フローが体調不良での欠席にて、サポートふたりを迎えての公演、となってしまったのだが、それでも充分期待は止まない。
そんなジャマイカのオープニング・アクトに大抜擢されたのは、日本の女性ヴォーカルの4ピース・バンド、ヘヴンスタンプ。甲高いヴォーカルが印象的な女のロック、といったかんじで、ジャキジャキ鳴らす正統派ギター・ロックからノイズの入り混じったサイケデリックな曲まで計5曲をプレイ。満員の会場に緊張も見えたが力一杯自分たちの音を鳴らしオーディエンスを惹き付けていた。
そしてジャマイカへ襷がかけられたわけだが、メンバー登場より早く、転換中にも関わらずステージのバックにJAMAICAのロゴが投影されるとフロアからは小さな歓声。BGMの曲が1曲終わるたびに声をあげたり、興奮でみなうずうずしているのが伝わる。いよいよ会場が暗転しメンバー登場となると、フロアからは一斉に歓喜の叫びが。それを受けて笑顔の3人が客席に向けて合いの手を求め、会場全体を巻き込んでのハンド・クラップでライヴ・スタート!
アルバムの1曲目も務める“CROSS THE FADER”で早くもそのギター魅せつけるアントワン。遊び楽しむように曲の途中途中にアレンジを加え、CDとはまた違ったライヴ感を充満させる。ベースも然り。CDだと打ち込みのドラムもここでは生音。作られた感のない、抑揚があり爆発的な、生きたリズムがまた曲に生命力を与える。“THE OUTSIDER”曲中にジャム・セッションをみせたり、CDと生じゃ全く印象が違う。CDもすごくいいが、ライヴもめちゃくちゃいい。
ただ、音はすごく生なんだけど、声が。ボーカルが違うんです。「あれ?」とちょっと引っかかってしまうくらい、波のない安定したボーカル。まるでCDからそのまま流しているのを聴いているようで、変な気分。すごく不思議な感覚に陥る。ドキドキする。
8曲目。「カヴァーをやります!」と言って、ニルヴァーナの“Come as you as”を演奏しはじめたと思ったら、途中でやめ。かと思えばレッドツェッペリンの“Whole Lotta Love”を披露……とみせかけてこれも途中でやめ。焦らして焦らして、やっと演奏されたのは、ポリスの“Message In A Bottle”。お茶目な姿を見せつつも豪快なサウンドで、ポリスの曲をジャマイカらしさで色付けた。
アンコール含めて12曲、1時間弱の短いステージではあったがぎっしりと詰まった濃密な時間を過ごすことができた。ラストの“WHEN DO YOU WANNA STOP WORKING?”なんかはもう、急病人出るんじゃないの!?ってくらいの盛り上がりをみせて。彼らの鳴らすギター・ロックはもはやそこらのバンドよりロック・バンドの音だった。また持ち曲を増やして、更に濃いライヴをみせてくれる日を想像して今からもう、次の来日が待ちきれない!(知念正枝)
<セットリスト>
1.CROSS THE FADER
2.SHE’S GONNA
3.BY THE NUMBERS
4.THE OUTSIDER
5.SECRETS
6.JERICHO
7.GENTLEMAN
8.MESSAGE IN A BOTTLE
9.SHORT AND ENTERTAINING
アンコール
10.JUNIOR(アコースティック・バージョン)
11.I THINK I LIKE U 2
12.WHEN DO YOU WANNA STOP WORKING?
photo by Shoichi Kajino