メレンゲ
なぜ出会ってしまったのだろう? ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?
そんな「ニクイ」やつらをご紹介。
今回は、3月5日開催のLIQUIDROOM presents “UNDER THE INFLUENCE”にキセルと出演のメレンゲの3人が登場。ひさびさとなる新作ミニ・アルバム『アポリア』を4月6日に発売する彼らの、メレンゲ誕生の秘密を握る“人生狂わした10枚”とは?
今回は3人のメンバーにそれぞれ3枚、そしてバンドとしての1枚を選んでもらいました!
- 『Howdy!』(2000年)
- Teenage Fanclub
クボこれはUKのバンドとか聴き出したもののなかでも最初のほうで。その後、シューゲイザーとかマイブラとかも聴くんだけど。その前に聴いたバンドですね。これも、まぁ良い意味でメレンゲっていうか、僕もあんまりギターとかすごく練習するようなたちでもなかったんで、ギターもそんなにうまくならずに、割とこのローファイな感じっていうのが、すごく参考になって。
タケシタ速弾きしなくていいっていうね。
クボ「普通のコードを弾いても良いんだ」みたいなところでメレンゲっていうものがすごい確立しだしたっていう感じがありましたね。ソロでギターを弾けなきゃいけないとか、そういうのはもちろんいまでもまた考えるんだけど、この頃は、この感じのそうではないポップな部分に自分たちの逃げ道があったというか。
── アイディアというか。
クボそう。本当、曲も良いし。でも、このアルバムじゃなくしたかったんですけど、ものがなくて(笑)。
── ええ、ならば探して希望のものを掲載しておきますよ。
クボいや、でも、これもすごいよく聴いてたんで。歌声のほうのハーモニーで、おもしろいことやっていって、そこまでテクニックに走らなくていいっていう。そういう逃げ道というかアイディアを見つけたという感じですね。このアルバムも割とバンド内で聴いてましたね。
── ハードなテクニックとかじゃなくて、楽曲のシンプルな良さっていうところですかね。
クボ一時期は聴くのに、そういうのばっかり探してましたね。すげーバカウマイという感じのものじゃなくて、アイディアでやってるとか、一音だけでうまくやるとか、そういうのの名曲っていうのは良く探してましたね。
- 『The Sophtware Slump』(2000年)
- Grandaddy
クボこれは古いバンドじゃなくて2000年くらいのバンドで。シンセとパワーポップというか、フレーミング・リップス系なんですけどそれよりももう少しサイケ感がなくて、そういう意味では日本人がとっつきやすいというか。かなり声とかもそっくりなんですけどね。結局、僕も打ち込み出身というか、シンセサイザーがすごい好きで。これはギターも結構高音なんですけど、印象的なメロディは全部シンセで、しかもカシオの安っぽい感じのシンセでやってて。それがすごい味のある音にしてて。アイディア勝負という感じのバンドなんですけど。すごい聴きましたね。
ヤマザキコレは僕もなつかしくて、メレンゲをやろうって話になったときに、「こういうのやりたい」って言って渡された音源のなかの1枚ですね。僕もすごい聴きましたね。
クボでも本当によく聴いたね。メレンゲのファンの人が聴くと「ああ」って思うようなところもあるかもしれない。この人たち自体のことは、俺もよくわかってないんだけど。
タケシタ違うアルバム聴いことあるけど、ローファイだったよ。
クボファーストかな、これがセカンドだから。まぁ、ローファイだね。
── わりと洋楽とかも含めて、リスナーとして結構幅広く聴く方ですか?
クボ聴く方ですね。というか、でしたね。最近の新しいバンドを見つけるきっかけがあまりなくなってしまって。あとはCDを買ってたんで、それを聴き直すというのが大変で(笑)。
── 家掘りですね。
クボそうそう。
- 『Piano Man』(1973年)
- Billy Joel
── 言わずと知れたクラシックという感じですが。
ヤマザキそうですね。一時期子供のころは、オーストラリアに住んでた時期があって、小学生6年生ぐらいかな。そのときに買ったアルバムだと思うんだけど。僕もわりとクボくんと近くて、ピアノものが好きというか、自分は弾かないんですけど、おふくろがずっとピアノの音楽を流してて、ピアノの音がずっと好きで。それで、そのときに出会ったコレがやっぱり、ピアノで、メロも良くてですごくはまりましたね。
クボうちらのバンドってピアノ欲しくなるよね。キラッとしたところはピアノを使うって感じで。
── このアルバムでいちばんすごいと思うところは?
ヤマザキベタベタですけど、やっぱりなによりも曲が好きですね。コード進行とかも独特だし。ソロ・ミュージシャンなんですけど、バック・バンドのメンバーをずっと変えてないんですよ。たしかファーストだけ、すごいうまいミュージシャンを使ってて、でもセカンド以降のアルバムは仲間内のメンバーでやってて、ソロ・シンガーだけど、バンドっぽいんですよ。そこの部分ではコステロにも近い部分もあって。
クボアトラクションズとかずっとやってたもんね。
── このCD、年期入ってますね。
ヤマザキそうっすね。もう、小学生のときに買ったのをずっと聴いてます。僕も迷ったときにコレを聴いたりするんですよ。
- 『Junior Sweet』(1997年)
- CHARA
ヤマザキこの作品も、よく僕らのセカンドを出した時期なんかに聴いてたんだけど。もちろん昔から僕は好きだったんだけど。この質感とか音像がすごい好きで。プロデューサーの(渡辺)善太郎さんがやってて、僕らもセカンドの1曲をお願いしたんですけど。
── このアルバムの質感が好きで、そこからオファーしたんですか?
ヤマザキそうですね。
クボプロデューサーってやっぱり人によってものすごい癖があるじゃないですか。そういう人で、僕らのなかで代表というか、あの人のカラーに仕上げたいと思ってお願いしたんで。独特なローファイな感じ。
ヤマザキあと、ちょっとしたファンタジーかな。チャラさんの作品のなかでも、すごくこの作品でそれが強くて。
- 『On & On』(2003年)
- JACK JOHNSON
── 次はジャック・ジョンソン。
ヤマザキピアノがすごい好きだったのが、この人の作品聴いてから、アコースティック・ギターの魅力にも気づいたというか。空気感とノリとかグルーヴ感――あとノリでゆったりとか、そのノリっていうのは歌もすごい聴きやすくなるし。単純にひとりのドラマーとして、「歌っていうのはドラムをこうすれば歌ってこう聴こえてくるんだ」っていうね。そういうところに気づかされたというか。
── それはドラマーさん故の意見ですよね。やはり、単純に聴けばギターそのものの音色なんかに耳が行きがちですが。
ヤマザキそういう意味では、これを聴いたときは衝撃を受けましたね。それまでは歌に対して、ドラムはしっかりハメていく感じが好きだったんですけど、この作品でちょっとうしろにあって、レイドバックしてる感じがすごい歌が聴きやすくて。いまのメレンゲでやるときに、そこは生きていると思う。
クボルーツというか、メレンゲをはじめた頃にかなり良く聴いてたんですけど。この作品は、“ベロニカ”がフジテレビの「特ダネ」でで使われてたりして、いまはあんまり聴かなくなっちゃったんですけど(笑)。
タケシタあのイメージって強いよね(笑)。
クボあの曲とかも入ってるアルバム。ポール・マッカートニーとの共作とか、そういうポップなものも入ってて。メレンゲってピアノの音も一杯いれるし、あんまりバンド・サウンドというところをすごい意識しているわけでもないんですけど、そういう部分での影響というところではすごい受けてたかなと。
── コステロを聴いた経緯は?
クボ僕は4つ上の兄貴の影響っすね。それで、まず洋楽を聴きはじめて、クイーンとかも聴いてて……でも、そのなかでもコステロが良かったですね。わりと洋楽聴きはじめるとハード・ロックに行くひとと、行かないひとがいるじゃないですか。僕はハードに行かない人で。
ヤマザキメレンゲはじめるときに、「こういう感じやりたい!」とか家で集まってこれとか聴いてたよな。
クボポップなんだけど、屈折しているというか。歌詞も甘いことは言ってなくて。俺らも屈折したところは絶対に持ちたいなと思ってて、メレンゲもただの甘いポップスで終わるバンドでやってたら、いま頃たぶん生き残ってないと思う(笑)。そういうのをつねに取り入れようっていうのはありましたね。
── メレンゲの起点になったという意味ではこの盤は重要と。
クボ迷ったときに聴いたりしますね。