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人生狂わす、ニクいやつ

なぜ出会ってしまったのだろう?ルーツはここにあり!?
ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?そんな“ニクイ”10枚をご紹介!

DJ DYE (THA BLUE HERB)

DJ DYE (THA BLUE HERB)

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なぜ出会ってしまったのだろう? ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?
そんな“ニクイ”やつらをご紹介。
今回は、THA BLUE HERBの鉄壁のライヴDJとして、そしてもちろんひとりのDJとしても活躍中のDJ DYEが登場。
地元、札幌以外では初となるレギュラー・パーティ〈PEEP〉をリキッド・ロフトにて、6/17からスタートさせる。
さて、DJ DYEを音楽へと引きずり込んだ、人生を狂わせた10枚とは? そんな“ニクイ”やつらをご紹介。




ダイヒップホップに深く興味を持ったきっかけになったアルバムですね。これが出たときのレコード屋さん、どこも太鼓判で。なんとなく手にとってみて聴いてみたら、ドカンとやられた。
── おいくつくらいのときですか?
ダイリリースされたリアルタイムで、俺が中2とか中3ですね。でも、このあたりの年代はウータンもそうだし、スヌープの『Doggystyle』とかも聴いてたし。ブラック・ムーンとかも迷ったけど、やっぱりこれかな。
── 名盤揃いの時代だと思いますがナズを選んだ理由ってどんなところにあると思いますか?
ダイ当時はこの1枚の雰囲気、アートワークとか含めて、なんかコレはタダもんじゃないぞって言う匂いがした。うまく言葉で言い表せないんですけど衝撃があったんですよ。
── ヒップホップを聴きはじめたきっかけというのはなんでしょうか?
ダイそのものは、ずっと辿っていけば、クリス・クロスとかになるんですけど……ドンピシャでリアルタイムにダンス甲子園とか見てたので、ヘヴィ・D&ザ・ボーイズとか、あとはニュー・ジャック・スウィングとかが、そういうブラック・ミュージックに触れたはじめての機会でした。いろいろ聴いて、このナズのアルバムにいちばん衝撃を受けたというか。本当、入り口ですよね。あー、『JUICE』(2パック主演の映画)も、観てたけど……。アルバム1枚出すとしたらやっぱりこれかな。
── いろいろ並列で聴いてたなかで、コレと。
ダイ並列なんだけど、この1枚に関して言えば思い入れが強い。
── いまでも聴いて、発見ってありますか?
ダイいまでもリリック読んで「ああ、こんなこと言ってたんだ」って思うことは多々ありますね。
── ちなみにターンテーブルとかって、いつぐらいに買いました?
ダイ変な買い方なんですけど、中3のときにお年玉と貯めてたお金使って、ターンテーブルを1台と安いミキサーを買って、その1年後にもう1台買ったみたいな感じで。
── 俺も同じでした(笑)。

  • 『5 Deadly Venoms Of Brooklyn』(1997年)
  • TONY TOUCH, P.F.CUTTIN’, MISTER CEE, DJ PREMIER & EVIL DEE(MIXTAPE)



── 次はミックステープですね。
ダイこれは本当に人生ではじめてミックステープが本当に擦り切れた。P.F.カッティンのイントロからかっこいい。このイントロ、悶絶ですよ。
── これは?
ダイこれは、当時、O.N.Oに借りたミックステープだったんですけど、速攻でダビングして聴きまくってましたね。
── このときにはすでにブルー・ハーブ周辺のひとたちと付き合いがあったという感じだったんですか?
ダイというよりも、俺が中学生ぐらいのときにO.N.Oが服屋の店員をやっていて、もともとは客と店員の関係でした。
── この時代ってそれこそいろんなミックステープが出てた時代だと思うんですが、この1本を選んだのは?
ダイたしかにいろいろ聴いてたけど、やっぱりこのヴォリューム感。こんなにもDJによって表現が違うんだっていう感覚を知ったという感じですね。ここでミックスしている5人のDJがいて、ひとりひとりのパートは短いんだけど。例えばP.F.カッティンとかはガシガシ・スクラッチしてて、ミスター・シーとかは歌もののブレンドをガンガン前半でやってて。トニー・タッチはフリースタイルをすごい入れててとか、プレミアは80後半とか90年代前半。エビル・ディーは遅いBPMで、ガシガシ行くっていう。五者五様っていう全然スタイルが違うっていう。DJの(オリジナルな)表現をコレで意識するようになったというか。
── もうこの頃は自分でもDJを?
ダイもうターンテーブルも2台ですね。でも、まだ家でばっかりやってたという感じですね。
── じゃあ、このテープの存在は、音楽として単純に聴いてたヒップホップから、DJとして表現するという部分で、大きなきっかけになったという感じですか?
ダイそうそう。そうですね。

ダイこの1枚でダブという概念を知るきっかけができたというか、オリジナルの『プロテクション』と並べて聴いても、同じなのに、全然違うという感覚。はじめは全然わからなかったんですよ。
── ダブとはなんぞやと。
ダイリミックスみたいな感覚ではじめは捉えていたんですけど、このダブのぶっ飛び感というか、ディレイとかエコーとか、リヴァーブとか空間系の音とか。このミックスの考え方みたいな部分が衝撃的だったというか。一般的に言うような煙たい音色というか、その感じがオリジナルよりも僕の好みだったので。ばっちりキタって感じです。
── いわゆるド真ん中のヒップホップ以外の音とかも聴ききはじめた時期という感じなんですが?
ダイまだヒップホップだけ……でもブレイクビーツも買いはじめてたかな。
── 聴いていた時代が90年代後半だと〈Mo’Wax〉とかも活発にリリースしてた時期ですよね。
ダイそう、このアルバムと知り合った時期に、UNKLEとかも出てて。ヒップホップが枝分かれしはじめた時期というか……ティンバランドとかが出て来た時期で。なんかヒップホップがひとつじゃなくなってきた感じの時期で……その風潮が個人的にあまり好きになれなくて。あまりにも変わりすぎたというか。そのときは、まだ自分の耳もそういった音に追いつけていなかったという感じです。そのときにブレイクビーツというか、ロービート、ヘッズ系とか呼ばれる音を聴きはじめた頃で。そういう、枝分かれの時期にこのマッド・プロフェッサーのアルバムに出会って、すごい衝撃を受けたんですよ。
── ダブという概念に関して?
ダイそれもそうだし、音そのものに関しても。

── 次はチルアウトとかバリアリックものの代表的なコンピレーション・シリーズの『カフェ・デル・マー』の第5集ですが。
ダイ『カフェ・デル・マー』のコンピが良いよって聞いて、お店に行ってちょうどリアルタイムであったのがこれ。そこからシリーズを掘り下げていったという感じです。1曲目とかすごい好きです。これを買った時期は、ちょうど東南アジアにひとりで旅行に行った時期でした。当時は、テープのウォークマンで聴いていて。バンコクのテープ屋さんに行ったら、ちょうどコレとマッシヴ・アタックのテープがあって。その2本を買ってずっと聴いてたんですよ。これはね、そういう思い入れもあるんですよ(笑)。
── 旅の思い出とともに……。
ダイ東南アジアの、空がこのジャケットみたいになる夕方の3時ぐらいから、暗くなるくらいの時間帯に本当にハマるんですよ。3番とかもすごい好きなんですけど、ホセさん(ホセ・パディージャ。イビザにあるカフェ・デル・マーのレジデントDJ)が選曲してるやつは雑多なジャンルだけど統一感があって、素晴らしいですね。
── これを聴いた時期っていうのは、すでにもういろいろ聴いてたってことですよね。
ダイそう、ヒップホップに固執しないで、いろんなものを聴けるように少しずつなりはじめた時期ですね。
── 音の感覚を広げてくれたきっかけみたいなのはありますか?
ダイやっぱり〈プレシャス・ホール〉が大きいですよね。
── やはり、そこでの経験が耳を広げてくれたというか。
ダイ耳を広げてくれたという言い方よりも、やっぱり遊び方がヒップホップのクラブとまったく違ったので、それがすごい衝撃的でした。ヒップホップの場合はそんなに踊らないというか、踊るんだけど縦揺れというか。ステップを踏むとしたらダンサーぐらいのもので。ハウスだったり、テクノだったり、〈プレシャス・ホール〉で鳴ってる音楽を聴くクラウドに関しては、みんな多種多様な踊り方をしているというか、それがものすごい衝撃的でした。もちろん年上ばっかりだったし。

ダイこれは本当に聴きましたねぇ。名作中の名作。すごいバラエティに富んでいて。まだ、自分のなかでヒップホップのビート感が捨てられなかった時期で。もちろん、いまも捨てたわけじゃないですけど、その先を切り開いてくれたというか。〈プレシャス・ホール〉でDJを聴いてすごいと思った後に買ったんですよ。ヒップホップもかければ、テクノもかけるし、ドラムンベースもかけるし、次になにがくるかわからないDJというか。このミックスCDに関して言えば、それこそ“Award Tour”(A Tribe Called Quest)をあえてインストで入れてるっていうところとか。“Say No Go”(De La Soul)も入ってたし。身の回りの人はみんな聴いてましたね。
── さっきのトニー・タッチのミックステープがヒップホップDJとしての表現のおもしろさだとすると、こちらはいろんなジャンルが入ってますが?
ダイダンスをするということに対して、DJプレイに対して、衝撃的な1枚でしたね。BPMに固執することもないという感覚も教えてくれたし、次になにが来るかわからないっていう驚きも知る事が出来ました。
── それでいてストーリーはしっかりあると。
ダイそうそう。BPMに縛られなくてもひとつの世界観は作れるっていう部分。もう本当にたまりません。2回買い直しました。

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