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女王蜂

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メジャー・デビューも決定! 孤高のバンド、女王蜂

 “こんなバンド、いままで観たことない……”
 このオリジナリティ溢れるバンドを前に月並みな表現で申し訳ないのだが、それが彼女たちのライヴを観た筆者の、心底正直な感想である。

 女王蜂は2009年に結成、その独特のヴィジュアルと世界観、そして狂気の滲むロックサウンドで話題を呼ぶ、アヴちゃん(Vo.)、やしちゃん(Ba.)、ルリちゃん (Dr.)、ギギちゃん(Gt.)の4人からなる年齢、性別、国籍不明バンド。全国流通版のアルバムはまだ1枚で、この日はバンド初の東名阪ツアー、『女王蜂単独三ヵ所公演 魔女逆襲』のツアーファイナルだった。

 まず楽器陣によって奏でられる嘆美に爆発する狂乱的なサウンドに頭をぶん殴られた。バイオレンスに叩き付けられるそれは、曲によってはかなりの轟音だったりもする。また、その中心として圧倒的な存在感を放つ、女と男が同居するアヴちゃん。美しく透明感のあるファルセットと、迫力ある低域を使い分けるヴォーカルが凄まじいのだ。これは一度、体感してみて欲しい。透明感のあるイノセントで女性的なヴォーカルが、いわゆるデス声に近いドスの効いた低音ヴォーカルに一瞬にして切り替わる瞬間、鳥肌が立った。そしてその歌メロは歌謡曲的な雰囲気を纏っていたりするから面白い。抜群のスタイルを保持するアヴちゃんは、モデルのような長い手足を駆使し、曲にあわせて次々にポージングを決めていた。本当に、彼女は天性のエンターテイナーなのだ。

 インパクトのある奇抜な衣装と、素顔がわからないくらいのド派手なメイクで演奏する4人。見た目だけだったら完全に色モノバンドなのに、そうはならない。それは、彼女たちの放つサウンド、そして佇まいに、全く嘘くささがないからだ。『そうにしかならなかった』という切実さが見えるからだ。もっと言うなら、生きていることと直結しているから、なのだと思う。

 ライヴは、そのひとの人間性が最も現れる場所のひとつであると思っている。アヴちゃんは繊細で愛情深く、それ故に悲しみを抱いた人なのではないか? そんな風に感じた。音の渦の中心で解放されていくアヴちゃんはとても美しかった。

 そして発表された、メジャーへの進出。「もっともっと私たち、過剰にならなあかんねん」そう、アヴちゃんは言った。メジャー・デビューする理由について「もっともっとお洋服が着たいから。世界中には素敵な服や靴がいっっぱいあるから。でも、どんな高い服を買っても、結局デコってしまうと思うねん」そんなキュートな本音を漏らしてもいた。
 
 これからこのバンドをリアルタイムで追える幸運を噛み締める夜だった。まだ未体験の方は、ぜひとも。初めての音楽体験ができると思うので。(山田佳緒里)

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