COCOBAT
ライヴやりませんか?」って誘われることがいまでもいちばんうれしい――結成20年を振り返る
この国のヘヴィー・ロックの雄、COCOBAT。幾度かのメンバー・チェンジを行いながら、ついに今年結成20周年を迎える。この結成20周年を記念してリキッドルームにて7月17日に行われるライヴは、このバンドの20年――過去と現在のCOCOBATの姿を目撃することができるだろう。この日、2つのCOCOBATが恵比寿に現れる。ひとつは、現在も活動を続けるenso team COCOBAT、そしてもうひとつはオリジナル・メンバーらによるtourist guide to COCOBATである。後者は1993年のライヴ・ヴィデオ『A TOURIST GUIDE TO COCOBAT』に最後の姿が刻印されているRYUJI(Vo)、SUZUKII(Gu)、TAKE-SHIT(Ba)にHIROSHI(2代目Dr)という布陣だ。COCOBAT VS COCOBATな20周年ライヴである。おそらく今後実現することがない貴重なライヴとなるようだ。目の前で起こる伝説をみすみす見逃すのはもったいない。当初は4月16日に開催される予定であったが、東日本大震災の影響で延期となったこの公演、多くのファンにとってはまさに待望のライヴだ。
COCOBATの中心人物として、現在でも活動する唯一のオリジナル・メンバーでもあるTAKE-SHITに、このCOCOBATの20年、そしてこのライヴに関して話を効いた。
── 今回出演するオリジナル・メンバーとのリハーサルとかはいつぐらいからはじめたんですか?
TAKE-SHITもう、今年に入ってやるって決まって。もともとの開催が4月で、その3ヶ月くらい前からやってかな。最初の方は感覚を掴むために週1でやってたけど、慣れてきたら間隔を空けてやってきたという感じで。まだSUZUKIくんが入ってなくて、いまのメンバーのSEIKIがギターを弾いてて。
── そこにHIROSHIさんとRYUJIさんで?
TAKE-SHITSUZUKIくんはつい最近から。
── TRIPLE CRUNCH(2001年のココバットのオリジナル・メンバーでのライヴ)以来ですよね?
TAKE-SHITそうですね。でも、全然変わらない。
── すっとできたと。
TAKE-SHITうん。
── 当日のライヴの趣向なんですけど、現在のメンバーと過去のメンバーのライヴと分かれてるんですよね。
TAKE-SHIT自分のテーマとしては“I Versus I”なんですよ。“自分対自分”、“新しい自分と古い自分”というか。
── 『I Versus I』か、僕のいちばん好きなアルバムですね(笑)。今回のライヴでの新旧のココバットの見せ方を差し支えなければ。
TAKE-SHITいまのココバットの部分は普段のライヴそのままという感じで、少し時間が長いかな。オリジナルの方のバンドを観に来るのが目的の人も多いと思うから、長く感じさせないように要所は要所の区切りは工夫して練習してる感じかな。
── かつてのメンバーというと、はじめの2作、『STRUGGLE OF APHRODITE(1993年)』までじゃないですか? いまのメンバーと前のメンバーでもやる曲がかぶったりはしないんですか? 聴き比べができたりするような。
TAKE-SHITそれはないかな。
── じゃあ、いまの“Cocobat Crunch”と前の“Cocobat Crunch”を聴き比べることはできないですね。
TAKE-SHITそうですね。
── 結成して20年経って、ベーシストとしてアプローチとかで変わった部分、変わってない部分ってありますか?
TAKE-SHITアプローチは……ここ10何年はアルバムは外国で録るようにしてたら、向こうのエンジニアから「ベースはどうでもイイ」というか。
── 「ギターとドラムなんだよ!」と。
TAKE-SHITその考え方を徹底的に叩き込まれたと言うか。
── 最初の頃と比べると、支えるというような意識になったということですか?
TAKE-SHITうん。間違えないようにドンと構えてちゃんと弾けというか。
── 最近の僕の印象なんですけど、スラップよりも普通に弾く方が多くないですか?
TAKE-SHIT多いですね。
── それって、重く弾くとか支えるっていう意識なんですか?
TAKE-SHITその理由は、ここ3枚のアルバムで四弦だけ一音落として弾く曲が増えてきて。D(コード)の音で鳴ってるとスラップっていうか引っ叩いても、そんなに曲のなかに影響がない感じになってしまって。だから、引っ叩いてない。
── D(コード)だとスラップしてもE(コード)のときと比べて、あんまりはじけないってことですか?
TAKE-SHITEの音で引っ叩けば、バスドラとギターのちょうどイイ真ん中で鳴ってくれるけど、Dの音で引っ叩くとバスドラのアタックに消されちゃってるかなと。自分の楽器の鳴りだとバスドラにあたって目立たなくなっちゃっている。
── そこがちょっと個人的には寂しいところです。でも、それはそういう意図があったんですね。
TAKE-SHITだから前のアルバム(『SEARCHING FOR CHANGE(2009年)』)はノーマル・チューニングでやって。だけど、自分たちが選んだエンジニアがそこまでベースを重視する人じゃなかったから、結果的にそんなにベースの音は出てなかったんだけど……。
── 結成してから、いままでで意識してるバンド、気になるバンドっていらっしゃいます?
TAKE-SHIT存在としては、やっぱりザ・フーかな。
── やっぱりベーシストとしては。
TAKE-SHIT生涯ずっと好きなのはやっぱり。
── ラウド系というか、いま自分のやってる音に近いバンドではありますか?
TAKE-SHITう~ん(しばし沈黙)。
── あんまり出てこない感じですね(笑)。それだけCOCOBATってオリジナリティあるバンドだと思うですよね。自分たちみたいバンドのスタイルで、自分みたいなベーシストって世界でいなくないですか?
TAKE-SHITでも、マキシマムザホルモンは同じ形態ではすごいと思う(笑)。ヘヴィーなギターで、スラップ・ベースで、はっちゃけてて。すごいなと思うけど。
── COCOBATって、その歴史のなかでメンバー・チェンジが多いバンドじゃないですか?バンドがまずいなとか解散とかを意識したときってありましたか?
TAKE-SHIT解散は本当にないんですよね。なぜかそれは考えたことがなくて。
── そのキャリアのなかで最も停滞したと思ったことってありますか?
TAKE-SHIT週1回とか2回、基本的に練習してて、それが無ければそういうことを考えることがあったのかもしれないけど、2人なり、3人なり、必ずひとりだけになることがなくて。そうやってスタジオに入ってたから、そういう沈む考えが出てこなかったね。
── とりあえず、動くことは動けてたと。
TAKE-SHITそうですね。やっぱり、人が辞めるときって、僕以外の3人のコンビネーションのなかで不具合が出て抜けていくとも多かったから。そうすると、そんなところで止まってられないというか……。
── いま旧メンバーと集まってやってみてどうですか? まさか無言とか……。
TAKE-SHITいやそれはないかな。やっぱり曲の話になって、「この曲はどの会場でやった」とかそういう昔話をしながら練習してますね。
── それは楽しいですね。
TAKE-SHITそうですね。あんまり昔も、もめたという感じも自分のなかではなくて、SUZUKIくんもRYUJIくんも、COCOBAT辞めた後に対バンもあったし……あまりわだかまりというのは感じてなかったけど。
── COCOBATから巣立っていった人をフォローというか、音源を聴いたりとかしてるんですか?
TAKE-SHIT聴きますよ。あとはバンドの手伝いをしてた子が自分でバンドをやるようになって、その後、一緒にやったりとかそういうのはありますね。
── 20年バンドがあって、実は20年続くバンド自体が奇跡じゃないですか? たまにバンドやってない自分とかも想像しますか?
TAKE-SHITそれはね、しないね。この20年でないな。
── メンバー・チェンジを繰り返していくと、当然、いまのメンバーのなかで年上になっていくと思うんですけど、意識的にバンド内で果たす役割とかって変えたりとか、変わってきたりとかってありますか?
TAKE-SHIT基本的に変わってないな。
── スケジュール切ったりとか、そういう役割をバンドはじめた時期からやってるわけですよね? そういう役割が好きなんですか?
TAKE-SHIT苦にはならないという感じかな。
── 過去の作品のなかであえて、個人的に1枚あげるとすると、良くできたアルバム、もしくはアルバムってどれですか?
TAKE-SHIT僕は『GHOST TREE GIANT(2001年)』が、自分が思ってた以上のものが作れたから好きかな。「だいたいアルバムってこういう作品ができるんだろう」って想像できるんだけど、それ以上のものができたから。「経験のある外人のプロデューサーつけて録音する意味ってこうゆうことなんだぁ」と実感できた作品。
── ちなみに、それぞれ新メンバーが入るタイミングってやっぱり“COCOBAT CRUNCH”を弾いてもらうんですか?
TAKE-SHIT最初やっぱりその曲をやりますね。ピッキングとか、手先を見ますよね。
── 長いキャリアのなかで、COCOBATをやってて良かったと思うようなことはなにですか?
TAKE-SHIT長くやってても「ライヴやりませんか?」って誘われることがいまでもいちばんうれしいですね。
── 20年やられてきたなかで、転機になったなと思った大きな出来事ってありますか?
TAKE-SHIT大きいのはやっぱりヴォーカリストのRYUJIくんが抜けて、ガラっと変わったときですよね。
── フロントマンが変わるってバンドとしてはすごい出来事ですよね。焦りとかは?
TAKE-SHITそのときはすごい焦ってたと思うんですけど、やっぱりいまよりは全然若いから、どうにかしようというのが大きかった。
── 20年経って、COCOBATでやってみたいことってありますか?
TAKE-SHIT新しいことはなくて、やっぱりアルバムを出すっていうことぐらいしかないかな。自分はイヴェント企画はやってないので、CDを出してそのツアーをやるっていうことしか、自分で決めてることはないですね。
── ちなみにツアーって最長でどのくらいまわりました?
TAKE-SHIT『I Versus I』のときは20数本とか。
── いちばん思い出に残ってるツアーはいつのですか?
TAKE-SHIT基本的にツアーはどれもなんですけど……あ、でも『RETURN OF GRASSHOPPER(1996年)』でまわったときは「こういう音楽が流行ってくるんだな」ってすごく感じましたね。
── 時代的にかなり来てた感じですもんね。ちなみにどのアルバムが枚数的にいちばん良かったんですか?
TAKE-SHIT『I Versus I』かな。
── 『GRASSHOPPER』じゃないんですね。
TAKE-SHITぜんぜん。その代わり、すごい批判の声ばかりで自分はすごい戸惑いましたね。半分くらいそうだったかも。
── 『GRASSHOPPER』で付いたファンですかね。
TAKE-SHIT『GRASSHOPPER』が好きな人は『I Versus I』は大嫌いって感じ。でも、数はすごい出てたから批判が出るのもしょうがないかなと思うけど。
── COCOBATは音楽的にも先駆者だと思うんですけど、8cmのCDの特典とか、Tシャツにこだわったりとか、CD以外の部分でも売る方法みたいなものをかなりはじめの頃からやっていた感覚があるんですが。
TAKE-SHIT初回出荷の特典つけたいというのは自分がレコード屋とかレコード会社で働いてたこともあって、現場と制作両方見てきて。それを自分の商品でやってきたというか。あとはジャケットはすべてパスヘッド(メタリカやミスフィッツなどのジャケットもてがけるイラストレイター)がやってて、彼は自分でもレーベルやってたし、いちいち日本人よりも細かいこだわりがある人だから、彼のアドヴァイスとか影響もあると思う。
── ちなみにパスヘッドとの出会いは?
TAKE-SHITメタリカの1986年の初来日のときに一緒に来てたんだよね。Lip CreamのJhaJhaと〈バイオレントグラインド(下北にあった伝説的なスケートショップ)〉のKUROさんがパスヘッドの世話をしてて。そのときに僕も会って、2回目以降の来日くらいから僕もケアをするようになって。JhaJhaもバンドがあって、KUROさんもお店もあるし、僕はその点、動きやすかったから。
── 現在のメンバーで、新しい楽曲の制作状況はどうでしょうか?
TAKE-SHIT新曲は普通に増えてて。7~8曲あるかな。長めのやつも取り組んでいるよ。
── 長い曲ブームというか、1曲は入れるというか。
TAKE-SHITまだ飽きてないですね。長い曲で「やりきった」という達成感があればやめるかもしれないけど、「まだできるんじゃねぇか」という意識がまだいまのメンバーの意識にあるから、そこをまだ追求しているところ。
── 初期からのファン的には1分ぐらいの曲が最近出てない気がするんですけど。作ったりしてるんですか?
TAKE-SHITそういうのはやってないから、できたら挑戦してみても良いかも。
── 予定としてはどのくらいの感じですか?
TAKE-SHIT今年中でまとめたいけどどうなんだろう。
── 最後に7月17日のライヴの見所を。
TAKE-SHIT十何年ぶりにスタジオで練習しても、衰えた感は感じなくて、それは大きな会場に変わっても大丈夫だと思う。会話のなかでオヤジ臭を感じても、演奏にオヤジ臭みたいなのは感じなかったから。いぶし銀みたいな物は見せれると思います。
COCOBAT全アルバムがiTunes Music Storeからダウンロード販売! 7/17の予習にぜひ!
http://itunes.apple.com/jp/artist/cocobat/id218558227
07.17.SUN
新旧、COCOBAT VS COCOBATな20周年公演詳細はこちらへ
COCOBAT 20th Anniversary『COCOBAT CRUNCH』
OPEN / START 18:00 / 19:00
LINE UP
バンド1:COCOBAT
バンド2:COCOBAT(a tourist guide to “cocobat” member)
【RYUJI/SUZUKI/TAKE-SHIT/HIROSHI】