難しいことなんか、どうでもいいいの、歌うことによって自分を解放し、歓喜する
パフューム・ジーニアスのこと、全然知りませんでした。オカマちゃんで可愛いですね。『グリー』(編注)に出てくるカートのようですね。セカンド・アルバム『Put Your Back N 2 It』もいいですね。
パフューム・ジーニアスもボン・イヴェールやセイント・ヴィンセントと同じですよね。すごいことやってそうで、じつに普通のことをやっている。それをあの音色なんかで、すごいいなという感じにさせているのです。
セイント・ヴィンセントの“Cruel”なんてまさにそうですよね。あのバス・ドラの音色だけで、センスいいなと思ってしまいます。エンジニアがすごいのか、なんなのかわかんないですけど、日本の音楽ももっと頑張らなあかんなと思ってしまいます。
そういう感覚の究極の位置にいるのがパフューム・ジーニアスじゃないでしょうか、えっーていうくらいのありきたりのコード進行、“オカマちゃんじゃなかったら聴いてられへん”でと、思わずツッコミを入れたくなるんですが、この使い古されたコード進行が、パフューム・ジーニアスの孤独感とか、悲しさを盛り上げてくれます。まさに『グリー』ですよね。難しいことなんか、どうでもいいいの、歌うことによって自分を解放し、歓喜するということです。
“Normal Song”なんかはじめて覚えた3コードで作ったような曲です。僕がデレクターだったからこの曲のデモ・テープを聴いた時点で却下でしょう。でも、こうしてパフューム・ジーニアスが作ると、涙する曲に仕上げてしまうのです。
でも、僕にとってパヒューム・ジーニアスの一番の魅力は、ボン・イヴェールやセイント・ヴィンセントと一緒、そのセンスいい音作りです。ディレイやリヴァーヴのかけ方など、本当にセンスいいなと思います。
アメリカの新しいポップス、本当におもしろくなってきたなと思います。
(編注:高校の合唱部を舞台にした米フォックスのTVドラマ・シリーズ。同性愛や障害、いじめなどいわゆるアメリカの青春ラヴコメでは扱わない題材を扱い大ヒットした。)