この時期のシェフィールドにはダンスの神様がいたとしか思えない
シェフィルードというところはキャバレー・ボルテールを筆頭に安いシンセとリズム・マシーンでしこしこやっていたのかと思っていたら、とんでもないバンドが出てきましたそれがABCです。
この人たちももともとはVice Versaというエレクトリック・ポップ・バンドだったんですが、打ち込みやっていても、ザ・ヒューマン・リーグには絶対勝てないと思った彼らは、ベースやドラムなどの楽器を演奏するミュージシャンたちと共にリハーサル・スタジオにこもり、80年代を一世風靡したモータウンをエレクトリックで蘇らせたようなサウンドを作りだすのです。
プロデューサーはトレヴァー・ホーン、でも、トレヴァー・ホーンがプロダクションする前にABCのサウンドは完全に出来上がっていました。
本当に不思議です。なぜ、この時期にシェフィールドから、こんなにも凄いダンス・ミュージックが生まれたのか、あとに〈ワープ・レコーズ〉や、スーパー・クラブのルネッサンスが生まれる土地だとわかっていても、この時期のシェフィールドにはダンスの神様がいたとしか思えません。
同じシェフィールドのデフ・レパードを見ていても思うんですが、シェフィールドの人たちは頑張り屋さんで努力家のような気がします。
デフ・レパードは、自動車事故でドラマーが片腕を失ったのに、その人を首にせず、片腕でドラムが叩けるようになるまで待ち、また活動を再開し、トップの座を守り続けました。なんかシェフィールドのエレクトリック・バンドの頑張りと似てますよね。
ABC、ちゃらいバンドと思われるかもしれませんが、『The Lexicon of Love』誕生の影には凄い努力があったように思えるんですよね。聴いてみてください。