どんだけヤバかってん! シェフィールドのシンセ・ポップ代表格
先々週くらいに、パンク以降のマンチェスターのバンドはグルーヴィーなバンドが多く、リバプールのバンドはなぜかサイケデリックなバンドが多いと書きましたが、シェフィールドのバンドはなぜかエレクトリックのバンドが多かったのです。
キャバレー・ボルテールがその一番最初のバンドなんですが、シェフィールドのバンドがエレクトリックに走った発端はこのザ・ヒューマン・リーグです。女性コーラスをしたがえMTV世代を代表するバンドになったヒューマン・リーグもいいんですけど、やはり、デヴィッド・ボウイなんかにクールなバンドと言わしめた1枚目『Reproduction』、2枚目『Travelogue』がダークで、むちゃくちゃかっこいいです。パンク、ニュー・ウェイヴ時代にこのエレクトリック・サウンドは最高でしょう。いま聴いても心動かされます。
でも、いま聴くと、そんな高価なシンセを使っているわけじゃなく、本当に日本製のチープなシンセ(たぶん)でここまでのことをやったというのは凄いと思います。ジョイ・ディヴィジョンが、高価なプロフィット5を買っていたのに比べるとザ・ヒューマン・リーグは本当によくやったなと思います。こういう音を聴いて、シカゴやデトロイトなんかであの音が作られていくようになるんですよね。そういう意味でも、ザ・ヒューマン・リーグの『Reproduction』はすごく重要なアルバムだと思います。
いま聴くとけっこうボウイだなと思いますが、当時は完全にボウイを超えていたなと思っていました。一番最初のシングル「ビーイング・ボイルド」なんかヤバかったです。
あのヘヴィなシンセはブーツィー・コリンズだったということで、いま聴くとなるほどなと思いますが、当時はもう完全に別世界から来た音楽だと思ってました。
アルバムではこの曲は『Travelogue』に入っているんですけど、お金がある人は両方聴いてみてください。
いまのクラブ・シーンの音を作ったと言ってもいい3枚目『Dare』もいま聴いてもヤバいですけどね。デヴィッド・ゲッタも最終的にはここからそんなに進化してないですよ。
いまから考えるとザ・ヒューマン・リーグどんだけヤバかってんと思います。