ニューヨーク時代の真実、そしてジョン・レノンの40代
『ジョン・レノン、ニューヨーク』、たいした映画じゃないと思って観たんですけど、凄い映画でした。アメリカに渡って以降のジョン・レノンの謎がすべて解明されるんです。
「なぜNYに行ったのか?」
「なぜアメリカ政府に国外退去命令を出されるくらいまでの政治運動をしたのか?」
「なぜヨーコさんと別れたのか?」
「失われた週末とはなんなのか?」
「なぜ、主夫となったのか?」
「なぜ、復帰したのか?」
すべてが解明されるんですよ。というか、ジョン・レノン何も別に隠していなかったと思うんです。全てアルバムにその気持ちを歌っています。『ジョン・レノン、ニューヨーク』を見てからだと、ジョンのソロ・アルバムを聴くと、その輝きは凄くましますね。
自分のことを素直に語っていく、これこそロックンロールだと思います。
ジョンのソロ・アルバムってあんまり売れていないと聞きます。『ジョン・レノン、ニューヨーク』を観てもらって、ジョンって、こんな人だったのかと理解してもらって、アルバム売れたらいいなと思います。
ヨーコさんと別れた理由とか知ったら、ひくと思いますけどね。ジョン・レノン、ヨーコさんに土下座してますからね。でも、ジョンがあんなことをしたのは、自分たちの平和運動が成功すると思っていたのに、成功しなかった挫折感だったんですが、でも、あれはやったらあかんやろ。完全にキャバーン時代に戻ったという感じ、まっ、映画観てください。
でも、やっぱ泣けるのは復帰のときの言葉です。40代になったジョンがみんなに”俺も色々あったよ、でも何とか生きているよ。そっちはどうだい? 元気にやっているかい?”と40代の等身大のロックンロールを歌おうとしたことです。
それが『ダブル・ファンタジー』というアルバムだと分かって、『ダブル・ファンタジー』というアルバムが輝きだしました。
だから、僕にはジョンの死はあまりにも痛いです。きっと50代のロックンロールも、60代のロックンロールも歌ったんだと思います。子供も大きくなって、ヨーコさんと別れ、若い女とつき合ったかもしれません、でも、そういう自分をまた正直に歌っただろうな、そういう歌も聞きたかったなと思うとジョンの死は僕には本当に惜しいなと思うのです。
ほとんどの人はビートルズ時代や「イマジン」しか知らないと思うのですが、そんな人に見てもらいたい映画です。本当の芸術家とはどういうものか分かる映画だと思います。
そして、これがロックンロールなのです。