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としみはとしみ

『としみはとしみ』

渡辺俊美

[label: FELICITY/2012]

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切実なる歌声に引込まれる、渡辺俊美の初のソロ・アルバム

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文:河村祐介

TOKYO No.1 SOULSETで自身のメロディの上で歌う、BIKKEが作る詩的な言葉の連なりとも、ZOOT16で見せるいつまでも変わらない不良少年の顔とも違った、心にすっと響いてくる言葉の透明度を持っている。渡辺俊美の、初のソロ名義で見せた歌の表情はこれまでのユニットなどではあまり見せてこなかったタイプのものだ。“オトコのリズム”のような、ZOOT16のようなダンディズムもあるが、やはりここで耳により印象強く入ってくるのは料理とそれを食する愛する人を歌ったキュートな“コトコト・グツグツ”や、いまだ原発事故の影響で先の見えない故郷福島の美しい地を歌った“夜の森”。切実で、柔らか、ストレートな言葉がすっと入ってくる。バック・トラックは彼らしいジャズやラテン・ミュージック、ロックンロール、レゲエの味付けもあるが、どれもが“歌”を引き立たせるシンプルなアレンジになっている。Charのカヴァー”気絶するほど悩ましい“、そして息子の影響で知ったという初音ミク楽曲“rain stops, good-bye”(すばらしいアコースティックなピアノ・カヴァー)のカヴァーも収録。とにかく、歌が染み込んでくるアルバムだ。嗚呼、染みる(しみじみ)。

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