ジム・オルーク・プロデュース、自身のバンド“もう死んだ人たち”を率いて完成された4枚目
ときにひとりのシンガー、自身の作品のなかでも、ときにピアノやヴィブラフォン、ドラムなどをプレイするマルチ・プレイヤーとして、そしてあるときは前野健太、七尾旅人、Phewなどの作品やライヴに参加するひとりのミュージシャンとして、八面六臂の活躍をみせる石橋英子、通算4枚目のアルバム。今回プロデュースを務めるジム・オルーク、須藤俊明、吉野章子、波多野数による石橋のメイン・バンド“もう死んだ人たち”を率いてのレコーディングとなった。資料や、さまざまなインタヴューでの発言、そしてまさに音がそうなのだが、そのテーマは“プログレ”。といってもあのおどろおどろしいアレではなく、あくまでも石橋英子の歌声に寄り添う様に、柔らかな色彩を忘れずにポップに展開する。そのかでフリー・ジャズ的なアプローチや、技巧をこらした様々な楽器たちが自由に響いていくのだ。その質感は、ロバート・ワイアットあたりにも通じるものがある。いやこちらの方がもっとしなやかで淡い色彩があるか。それにしても最後のタイトル・トラックの、ベテラン、坂田明によるサックス・ソロは圧巻。ちなみにカヴァーのイラストはリキッドルームのロゴでも同じみの五木田智夫による書き下ろし。