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乙

『乙』

cro-magnon x Hyouge Mono

[label: Jazzy Sport/2012]

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復活! そして幻の「へうげもの」とのコラボ作も復活!

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文:河村祐介

復活後初の『THE BEST』のリリースを経て、cro-magnonのお蔵入りになっていたあのアルバムが復活です。戦国時代末期/安土桃山〜江戸初期にかけて、千利休の影響下にありながらも、茶道、そして建築、造園、茶器などなど、その類い稀な眼力によって、戦乱の世に“織部好み”という、いまでいうアート・ムーヴメントを起こした古田織部。彼を描いた人気漫画『へうげもの』とのコラボレーション・アルバム。昨年5月にリリース予定だったが諸々の事情でお蔵入りとなったのだが、ここに復活。本作は漫画の作者、山田芳裕が選んだ登場人物をイメージしたテーマ曲&オリジナルのトリビュート曲をcro-magnonの手練3人組がカヴァー。“ウイスキーが、お好きでしょ”=千利休、“時間よ止まれ”=信長……などなど、その歌詞と人物(できれば『へうげもの』の設定で)を思い浮かべて聴くとなんとも味わい深いセレクション。それらの楽曲を、ジャジー&メロウにcro-magnonがカヴァー。もちろんそれらのコンセプトが頭になくとも、その柔らかな旋律とグルーヴは心地よく響く。オリジナルのトリビュート楽曲も含めて、どちらかと言えばチルアウト&レイドバックな感覚が前に出ていて、その感触はダンスフロアの彼らと言うよりも、『Mellow Out & Acoustic』の路線をさらに進化/深化させたものと言えるだろう。そして、吉幾三ことIKZO、土岐麻子の2人のヴォーカリストをフィーチャーした2曲。どちらも往年のスカイ・ハイ・プロダクションを彷彿とさせる、流麗なジャズ・ファンク。特に、cro-magnonのグルーヴに、ソウルフルに夏の青空に向けて飛んで行くような、IKZOのヴォーカルといったら。諸事情でお蔵入りになる音源はこの業界珍しくないのだけど、こうしてすばらしい作品を世に出した〈Jazzy Sport〉にリスペクトを。

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