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TIC TAC

『TIC TAC』

サイプレス上野とロベルト吉野

[label: SPACE SHOWER MUSIC/2013]

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ヒップホップに愛でられた二人。

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テキスト:渡辺克己

「サロ吉は、気合いの入れ方とゆるさの加減が絶妙なんだよね」とは、現在レーベルメイトである渡辺俊美。サロ吉こと、サイプレス上野とロベルト吉野は、スチャダラパーやTOKYO No.1 SOULSETから、彼らがホストを務めるTV番組にやってくるゲストにまで、ツッコまれ、そして時にありえない質問を投げかけられ、とにかくいじられる。それでいてトゥーマッチにならないことは、二人のキャラクター特性と共に、共演者からサロ吉への愛情があるからだろう。
昨年、深夜バラエティ『ゴッドタン』のエンディングテーマに「ちゅうぶらりん」feat.後藤まりこが起用されたことで、ヒップホップやサブカル界隈以外からも、一気に注目をあびることになった二人が満を持してサードアルバム『TIC TAC』を発表。冒頭を飾る賑やかサンプリングが印象的な「ぶちかます」、「ヨコハマシカ feat.OZROSAURUS」では横浜のパイセンとジャム。そして盟友 JABをフィチャーした「WHO’S LEADER!?」では、サシのマイクリレーを展開。「IMPEACH THE PRESIDENT」の組み替えビートで始まる「ヒップホップ体操第二」は、年間120本のステージで鍛え上げられた肉体から生まれた新しいヒップホップ・アンセム。机上のレッスンでは味わえない肉体感のある逸曲になっている。勢いのある楽曲に恵まれながらも、その反面となるメロウなビートの「だろう生活ながら毎日」。特別なことなどなにもないダラダラとした日常を吐露するこの曲は、アルバムの中で異色を放ちながら、緊張と緩和ともいえる絶妙なバランス感を際立たせる。等身大で、自己表現に対して生真面目なところこそ、二人がみんなに愛される理由なのかもしれない。
ちなみに「ヒップホップ体操第二」は、某中古レコードチェーン店頭(ダンスミュージックフロア)でヘヴィーローテンション中。2月中旬には聴かない日はなかったほどだ。その理由を店員に訊ねると「元々、上野さんがうちのスタッフだったんですよ」とのこと。やっぱり愛されてます。

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