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Incubation

『Incubation』

FUNCTION

[label: Ostgut Ton/2013]

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テクノの英知をストレートに凝縮した、美しいアルバム

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text by 河村祐介

いま最もテクノ・シーンで重要なアーティスト言えば、彼だ。
まさにストロング・スタイル。ストレートに、テクノの道をひたすら歩んでいる。
ここ数年は、自身の作品の作品もさることながら、つい先頃、自ら終焉(?)を宣言してしまった、Regisとのプロジェクト、Sandwell Districtでは新たなエレクトロニック・インダストリアル・サウンドのムーヴメントを牽引し、高い評価を受けていた。いわば、20年近くにもなるキャリアのなかで、いまが最も旬ともいえる時期にきている。そんななかでリリースされた、このファースト・アルバム。そんな彼の勢いを象徴するように、リスニングに耐えうる1枚のアルバム・サイズの作品として、そして“テクノ”という音楽のスタイルの美しさを指し示すような作品となった。
ミニマル・トラックはもちろん、アンビエント・タッチの曲(とはいえ、そこに難解な感触はない)まで、その手腕を幅のあるテクノのフォーマットでバランスよく提示している。こうしたテクノ系のアーティストがアルバム・サイズの作品をリリースするときにありがちな、ディープ・ハウス的なメロウネスや過度にコンセプチャルな実験性に頼ることなく、リスニング用の強度を保ちながらピュアなテクノの魅力を追求している。この作品でシンプルに鳴らされる電子音の流れの美しさは、まさに、これまでテクノの歴史が培ってきた英知を高純度に濃縮したものと言えるだろう。これを90年代のテクノのスタイルの模倣と簡単に切り捨ててしまうのは酷く的外れだ。ここ数年のテクノの流れを追いかけていない耳であることを自ら暴露するようなものだ。たしかにベーシックな構造的にはそのような部分もあるかもしれないが、細部の電子音の、ひとつひとつの粒子が積み重なる表現の総体は、その解像度の高さからして、格段なる進化を見せている。


いよいよ今週末開催!
5/17(金) Liquidroom & Ostgut-Ton present FUNCTION “INCUBATION” Album Release party with Special Guest NOBU 公演詳細はこちらから

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