対談:group_inou × cero
group_inouが不定期で主宰しているイベント『 PR 』。5/26のリキッド公演にはceroが登場!発表時から、ツイッターなどでも話題になったステージ。残念ながら売り切れになったが、注目の2組による対談を決行!
4月から全国で『GAL presents「PR -2man series-」』を開催しているgroup_inou。5月26日のファイナルには ceroが登場。公演が発表になった時から、ツイッターなどでも話題になった注目のステージだ。今回改めて2組が対面してもらい、出会いからライブについての抱負を語ってもらった。まず話は、意外な共通項からスタート。
imai 2012年の6月、名古屋 HUCK FINNで、ceroを誘って2マンライブを企画したんです。来年結成10年なのに、自主イベント「PR」をまだ5回しかやっていない事に気付き、増やそうと思っていたタイミングでした。その時は、「PR vol.7」が、7月7日に決まっていたので「PR」名義にはなりませんでしたが。
荒内佑(以下、荒内) ceroも今年結成10年目ですよ。
髙城晶平(以下、髙城) 高校卒業と同時に結成したけど、浪人したり、受験し直しているうちに一、二年ぼんやりした時期はありましたね。でも、結成自体は2004年です。
cp 年齢は多分うちらの方が少し上だと思うけど、バンドとしては同期だ。
橋本翼(以下、橋本) group_inou結成の経緯は?
imai 10年以上前、オレは当時バンドでドラムを叩いていたんですよ。ある日、ライブが終わった後、楽屋にいたら、知らない人がフラッと入ってきて。唐突に“ドラム叩いてくんない?”と声をかけてきたのが cpだったんですよ。
cero一同 エッー!(笑)。
imai 小さい店だし、知り合いだらけの場所だったから、不審者が入ってきちゃったかと思って驚いた(笑)。
髙城 いいドラマーの噂を聞きつけて行ったんですか?
cp いやいや、全然。たまたま見ていただけ。「このドラム、スゲエ! 絶対入ってもらおう!」と思って、そのまま楽屋へ行って。
橋本 それが2人に出会い?
imai そうそう。いきなり誘われたんだけど、その時は「バンドをやっているんで」と断りました。でも、友だちになりましたね。僕は何でも満遍なく聴くタイプなんだけど、当時の cpは USインディーズに凄く詳しかった。音楽話をして、次に会う時なんかに「こういうの好きでしょ?」って、テープを作って持ってきてくれるんですよ。それで仲良くなって、それから2年後くらいに group_inouを結成したんです。
── バンド結成の経緯もドラマチックだが、2グループの出会いも電撃的なものがあったのだとか。
imai 最初にceroを知ったのは、昨年LITTLE WINGSの来日公演に出演していたステージを見て、一発でやられちゃって。「ヤバいバンドがいる」と速攻でcpに電話して、名古屋のライブに誘うことを決めたんです。自分でも「オレ、こんな行動力あったんだ!」って、ちょっと驚いたくらい。
髙城 ありがとうございます。あの時のimaiさんの瞬発力のおかげで、いい流れができました。
imai それまでの自主イベントのゲストは、年上のアーティストが多かったので、年下のバンドを積極的に探していたんです。そんな時、ceroと出会った。最初に見たライブで、3人がステージに出てきた瞬間、お客さんの気持ちが高揚するのが目に見えてわかった。勢いだけで盛り上がるわけじゃなく、フレーズやメロディ、音楽を聴いて盛り上がるのがよくわかった。
cp 名古屋のライブで演奏していた「さん!」という曲がその後発表されたアルバム『My Lost City』(12年10月)に入っていたのも嬉しかった。
髙城 僕は西海岸のANTICONに所属するwhy? の来日公演に、
group_inouが出演していて、そのステージを見たのが最初。
それまで個人的にラップといえば強面のもの、またはスチャダラパーのような存在しか想像していなかった。でも、
group_inouはそのどちらでもないし、手法はラップでもヒップホップとは違う。クラブミュージックでもないかもしれない。活動場所はアンダーグラウンドでも、楽曲やPVはすごくポップ。すごくオルタナティヴな存在で、チェックしていました。LITTLE WINGSの公演の時、声をかけてもらった時は凄く嬉しかったですね。
橋本 2組とも、FUJI ROCK FESTIVAL ’12 に出ましたね。
髙城 ceroのサポートメンバー、MC.Sirafuさんやあだち麗三郎くんの“片想い”というバンドが、苗場食堂でライブがあり、僕らもガヤで参加したんです。終演後、レッドマーキーのところで飲んでたら、爆音のライブが始まったと思ったらgroup_inouだったんです(笑)。
imai 実はレディオヘッドのステージが押して、時間がかぶっちゃったんです。それで“この野郎!” という気持ちで、かなり気合が入ってましたね。
髙城 その気概は感じました(笑)。でも、いいライブでしたよ。
── 音楽を聴き、楽しみ、そして作り聴かせること。2組とも職業としてのミュージシャンになる以前から、生活の中で自然に行ってきたことだ。だからこそ、ジャンルや様式を越えて共鳴するのではないだろうか。
髙城 自分たちの音楽と、好きで聴いている音楽は全然違うものですか?
imai 僕が聴いているものは割とバラバラ。確かに、サウンド的には全然違うものも聴いています。
髙城 なにかを聴いて“こういう曲が作りたい”という指標に向かって作ることは?
imai そうやって作ると、あんまりいい感じのことにならない、というのがある時期わかって。他の音楽やバンドから受ける、ワクワク感や高揚から影響を受けるんですよね。
荒内 じゃあ、最近聴いている作品は?
imai トッド・ラングレンのような、作詞作曲から楽器演奏まで、全部ひとりでやっているシンガーソングライターの作品を、ここ1、2年はよく聴いていますね。
荒内 今imaiさんが使われている ELECTRIBE(KORG 社製)なら、ひとりで全部できますよね。やっぱりバンドより、個人の方がいいですか?
imai バンドをやめたのは、単純にメンバーが抜けちゃったから(笑)。オレ、すっごいワガママなんですよ。進学しなかったのも、何の保証もないのに、音楽でやっていけると思っちゃったからで。バンドのメンバーが辞める時も“オレが4人いればいいのに”って本気で思っていましたからね。
髙城 そこがトッド・ラングレンと同じ考え方ですね。
imai 今思えばそうだね(笑)。20歳になる前くらいにELECTRIBEが発売されたので、一人でポチポチ打ちこみ、曲を作り、自分の好きなアーティストに人に聴いてもらおうと、直接渡しに行ってました。ひとり新幹線に乗り、京都へ行ってrei harakamiさんやスッパマイクロパンチョップさんなど、日本で電子音楽をやっている人に会いに行きました。
cero一同 いい話じゃないですか!
imai 反応なかったら辞めようかと思ってたんだけど、リアクションしてくれた人がいたんですよ。それで一人でもやれるかもなぁ、と思って、始まったんですよね。今考えると、かなりおかしい話だけど。
髙城 それで今があるって、凄いですよね。めちゃめちゃ行動力があるじゃないですか。
imai いやぁ、偶然ですよ。行動力が湧いてくるなんて、数年に一回くらい。だから、ceroに声をかけた時もかなり珍しいことです。
髙城 僕は阿佐ヶ谷でバーをやっていて、時々ライブにも来てくれる50代後半の常連さんがいるんです。ceroの「Contemporary Tokyo Cruise」が「モヤモヤさま〜ず2」のエンディングテーマだと話したら、見てくれたらしいんだけど、感想を聞いていると、どうも僕らの曲じゃないんです。
よーく聞いてみたら、group_inou「JUDGE」だった(笑)。
imai 「Contemporary Tokyo Cruise」は、「JUDGE」の次のエンディングテーマだもんね(笑)。
髙城 でも、“似てた”っていうんですよ(笑)。寛容な考え方をするおじさんで、group_inou と ceroの関係をまったく知らない人が、そんな感想を持ってくれるというのは、
同時代性なのかもしれないけど、単純になにか嬉しかったんですよね。
imai 聴いてくれた人の感想はそれぞれだと思うけど、僕らはやっぱり単純にceroが好きなんですよね。だから、一緒にやりたい。好きなバンドと一緒だと、自分たちもいいライブができるので、あがるというか。
── 5月26日『GAL presents「PR -2man series-」』ファイナルが今から楽しみです!
05.26.SUN
GAL presents 「PR -2man series-」
group_inou
Guest: cero
5/26公演詳細はコチラから