歌い始めた鍵盤奏者が向かえる、新しい朝。
鮮やかなイエロージャケットが印象的な前作『INOCOLOGY』(2009年)。フェンダーローズを全面に押し出し、バンドと対峙した結果、最小のアンサンブルで、最大のグルーヴを作り出す傑作となった。直後のツアーは、主にベースとドラム、そしてフェンダーローズ軸とした電子ピアノの3人編成。生々しいほどのグルーヴで、ライブアーティストとしての評価も確立した。その模様を記録したライブ盤『KALEIDOSCOPIC』から3年。新作『NEW MORNING』は、鍵盤に込めたグルーヴを、意外な形で放出させた新機軸と言ってもいい。INO印のローズとバンドが再び邂逅した「闇からひかりへ」から始まり、鳥のさえずりが印象的な「グリーンティ」へ。ここで聴けるのは飾り気のない本人の歌声だ。続いて、ギタリストの鈴木茂を迎えてトッド・ラングレン「ハローイッツミー」のカバーを披露。バンドの安定感ある演奏に身を任せるような歌声、英語のたどたどしい発音も含め、解放感に溢れている。また「クライミーアリヴァー」では、邦訳で日本語の歌も披露する。しかし、その逆に、盟友である藤原ヒロシを迎えた「思えば世界はあまりにも美しい」では、あえて歌を抑え、アコースティックギターとフェンダーローズのジャムを聴かせる。バランスを考慮してか、歌に特化しないところも、またこのアルバムの特徴だ。
歌とグルーヴ。全編を通して非常にバランスのいい作品になっているが、なぜ改めて自らの歌を収録したのか。憶測の域は出ないが「ハローイッツミー」や「クライミーアリヴァー」など、INOのファンなら知りうる楽曲を収録したことを考えれば、改めて観客と繋がることを重視した結果ではないだろうか。もし、それが当てはまるのなら、今後のライブはファン必聴の価値のものになるだろう。
—
6/14(金) 開催!
INO hidefumi GROUP
“NEW MORNING” INO hidefumi LIVE SET 東京 SPECIAL SHOW!
出演:INO hidefumi GROUP
ゲスト出演:鈴木 茂 and more…
前売りチケットは好評発売中!
公演詳細はコチラから