クボケンジ(メレンゲ)×木下理樹(ART-SCHOOL)
10年来惹かれ合うバンドのそれぞれの秘話
7/17(水)、7/18(木)の2日間にわたり「Space Frontier Foundation Tour」を行うメレンゲ。初日の公演に対バンとしてART-SCHOOLが登場するということで、メレンゲのクボケンジとART-SCHOOLの木下理樹のスペシャル対談が実現。悪友同士ということもあり、出会いからプライベートでの出来事、お互いのバンドの音楽性、さらにはここでは書けないようなダークな会話も飛び出し、ピッタリと息の合った掛け合いで時間は瞬く間に過ぎていった。お互いをミュージシャンとして認め合っているからこそ分かり合える、心底羨ましい関係性である!
── まず、お二人はいつからの付き合いなのですか?
クボケンジ(以下、クボ)知り合ったのはいつだったかな……。確か下北沢QUEでやっていた「闇鍋」というイベント。メレンゲ、ART-SCHOOL、フジファブリックでやっていたんですよ。それが2003年くらいですね。
木下理樹(以下、木下)僕は覚えていません(笑)。
── 最初の印象は?
クボすげえ引きこもった奴っぽいなと思って(笑)。
木下闇を感じた?
クボ感じた。すげえ過去にトラウマがある人なんじゃないかなと。
木下うるせえよ、もっと良いこと言えよ(笑)。
クボでも、話してみたらやっぱりトラウマがある人なんだなって(笑)。あまり笑ったことがない感じの。その後も同じ練習スタジオを使っていたので、そこで顔を合わせたり。まあ、バンド同士で挨拶するくらいで。
木下よく喋るようになった理由は、2人で飲みに行ってからだよね。
クボあった、あった。
── あまりいい印象を懐いてなかったのに、よく2人で飲みに行くことになりましたね。
クボ彼はずっと飲みまくっている人で。僕はそれほど飲まないんですけど、変な人だし、曲が素晴らしいから喋ってみたいなと思っていて。
── 飲みに行ったことによって、打ち解けたというか。
クボそうですね。思ったよりおかしな人だなって。僕はおかしな人が好きなので。喋ってみたら、やっぱりおかしい人だった(笑)。
木下おかしいって何回言うんだよ(笑)。クボ君って歌を聴く限り、偽善的な恋の歌を唄っていらっしゃるから、偽善者なんだなと思っていたんだけど、実際に喋ったら僕よりももっとゲスかったという(笑)。ゲス中のゲスと言っても過言ではない。
── ゲスの極み(笑)。
木下そうです。こいつゲスだ!と思って、仲良くなった(笑)。俺より上がいるんだと。クボ あはははは(笑)。
── ゲスな会話はさておき、音楽の話なんかもしますか?
クボそんなに深くは話しませんけどね。
木下彼が引っ越す前の家にはよく行っていて、その時はしたよね。
クボしたした。青春時代に流行っていた音楽が、ギターポップとかそういう時代だったので、そういう話をしましたね。
── 似たような音楽を聴いていた?
クボ似たような音楽ではないですけどね。彼はオルタナ、僕はポップだったり。
木下その時、トラヴィスいいよな〜とか言ってたじゃん。
クボでも奏でている音楽のルーツはもっと違うところにあるんだろうなと俺は思っていた。もっとオルタナなところにルーツがある人だなと思っていて。
── 話してみると意外な面も出てきたと。
クボ僕が好きだったポップなものも彼はすごく聴いているし、意外といろいろなものにアンテナを張っている人だなって。話していると「この人賢いのかな?」と思う瞬間がありますね。でも「ああ、やっぱり違う」となることが多い(笑)。
木下どういうこと?
クボ「この人、スゴイんかな?」と一瞬思うことがあるんだけど、「ああ違う、違う」という繰り返しで。そんなことが結構ありますね。
── 木下さんから見る久保さんの音楽の印象は?
木下2007年当時、僕は新垣結衣が好きだったので、『恋空』という映画を観に行ったんです。そうしたら挿入歌としてクボ君が作曲した「heavenly days」が流れていたんですよ。「このゲス野郎!」と思って。「ガッキーに会ったのか、会ったのか?」って(笑)。
クボ速攻、連絡が来ましたね。「曲を書いたのか?」って(笑)。
木下絶対に俺が曲を書いたほうがいいのにと思って。
クボ「俺にも書かせろや、会わせろや」と訳の分からないことを言われて(笑)。自分にはそんな権利はないのに。
木下会わせろというよりは、実際に会ったのかどうか教えろと。
── 新垣結衣さんとは実際にお会いしたのですか?
クボ会ってないです。作曲をして楽曲提供をしただけで、ガチガチなフィールドがあるから。変な虫がつかないように。
木下会っていない、という報告を受けてホッとした。
クボそれで自分に対する悪意が消えたみたいです(笑)。
── そして普段、2人はどんな遊びをしているのですか?
クボ一時期、ゲームをよく一緒にやっていましたね。「コール オブ デューティ」という戦争ゲームがあるんですけど、ミュージシャンでも好きな人が多い。
木下そのためだけにクボ君の家に行っていた。
クボ2人ともゲーム好きなので、よく話をしていて。
── 遊びと言えばゲームをするか、飲みに行くかという。
木下クボ君はあまり飲まないので、ただゲームをしていただけだよね。
クボコンビニで缶ビールを買うくらいで。
木下ゲームをして、猫と遊んで帰るという。一時期は週3〜4日くらい遊んでいたよね。
クボ家がわりと近くなって、そうなると嬉しいから結構遊んでいましたね。
── 家でセッションみたいなことはやらなかったのですか?
クボやりましたよ。一緒に曲を作ろうということになって、彼が作ってきたものを俺が打ち込みし直して遊んだり。
木下やりましたね。タイアップ用に曲を作ろう、みたいな感じで。でもその作った曲をずっと彼が眠らせているという。女の子の仮ヴォーカルも入れているのに。
クボでもやっぱり曲の印象が暗いからね。
木下歌詞とかそういう問題じゃないんですよ。いくらでも華やかにできるんだよ。
クボあはははは(笑)。
木下ストリングスとか入れて、壮大な感じで。
── それはぜひとも聴いてみたいですね。
クボいつか聴かせたいですね。でもそんなに何曲もないですよ。2曲くらい。むしろこの先、何かやりたいですけどね。僕は歌詞も曲も書くけど、人にも歌ってほしい、という願望があって。そういう話をしていたら、彼もすごく興味があると言っていて。それは僕の知り合いではあまりいなかったですね。
木下僕は結構、自分の曲はポップだと思っているんです。ただ、自分が歌うことによって、暗さがどうしても出ちゃう。でも本当は小沢健二さんの「カローラIIにのって」くらいまでいける自身がある。
── 完全にCM曲まで表現できると。
木下全然いける。ただ僕が歌うと暗くなるので、他の人に歌ってほしい。
── この人に自分の曲を歌ってほしい、というのはありますか?
クボ僕はCHARAさんですね。いつかは楽曲を提供したい。
木下僕は能年玲奈さんですかね。5〜6曲くらい提供したいですね。
── 朝ドラのイメージで。
木下完璧にポップな曲を書いて、彼女をスターダムに押し上げるという。
クボもう上がっているし、完全に。お前より遥か上にいるし(笑)。