今/また/ここから
今年春に新メンバーを迎え、ふたたび4人編成となった、新生SpecialThanksの初音源。一聴し、まず心を奪われたのは、抜群のメロディセンスそのままに、ツインギターになったことでアンサンブルが多層化し、さらに音が分厚く、力強いものになっていること。そして、音の端々からあふれ出す瑞々しいポップネスが、これでもかといわんばかりに縦横無尽に疾走していることだ。
拳を高らかに突き上げたくなるような、キャッチーなギターのフレーズ。気持ちが昂るスピードを加速させてゆく、タフで小気味よいビート。明るくそして頼もしく、メロディーをぐんぐんとひっぱってゆく、キュートでのびやかなヴォーカル。今のこの4人でこそ生み出すことのできる音、そんな「音への歓び」が、聴く者たる私たちにまで伝播する。そして私たちは、ポップなキラー・チューンの連続に、アドレナリンが放出されっぱなしになるのである。また、今作を象徴しているのが、アッパーな楽曲が続く前半と対照的な、後半のメロウチューン、その振れ幅だ。胸をかきむしるようなせつないギター、悲しみに寄り添うようなやさしくも力強いビート、愁いの色気を帯びたヴォーカル、うつくしいコーラスワーク――前半とのあまりにも鮮やかな対比に息をのむほどである。ポップとメロウを華麗に行き来し、持ち前の卓越したセンスをさらに深化させ、バンドとしての進化を堂々と見せつけた快作。