青葉市子
なぜ出会ってしまったのだろう? ヤツらとの出会いによって人生狂い咲き!?
そんな“ニクイ”やつらをご紹介。
47都道府県、全国弾き語りツアーがスタートし、7月9日にはリキッドルームでのライブも控えている、音楽家 青葉市子。
小さな身体から発せられる音楽は、彼女でしか作り得ない独特の世界観を確立している。
そんな青葉市子の人生を狂わす10枚とは!?
- 『Cliché』
- 大貫妙子
誰とも話したくないとき、誰とも話さなかった日
膨張した少女性が破裂しないように、
誰にも触れられないように、Clichéを聴いていました。
2年後、大貫さんとイベントでご一緒することになり
打ち上げで大貫さんが山崎のロックをのんでいたのに憧れて
ビールよりもカクテルよりも先にウィスキーをのむようになりました。
同性の人のうたを好きになるということが、どれほどの強さを教えてくれるのか、
退屈な顔して通学バスに乗っていた私へ、イヤフォンの中に忍び込んで、耳打ちしに行きたいです。
- 『Djangology』
- Django Reinhardt
18歳のころ
裸電球の8畳の部屋で、ブラウン管のテレビを通して
1日のはじまりから終わりまで、ずっとジャンゴを聴いていました。
かび臭く、ほこりっぽく、40Wの裸電球がすべてをセピア色に染めている部屋で。
Djangologyが流れていれば、なにがあっても大丈夫。
お薬のような魔法の音楽です。
- 『ヘヴンリィ・パンク: アダージョ』
- 七尾旅人
震災のあった2011年、七尾さんと出逢って
何枚か作品を頂きました。
そのなかで最も多く、長く、深く一緒に生きているアルバムが、この作品です。
当時の私と、この作品を産み出した七尾さんの歳が一緒だったということもあり
特別なものとして傍に居ました。歌詞カードはいつも持ち歩いていて、いまはもう、穴があいたり破れたりしてぼろぼろになってしまっています。
聴いていると必ず眠ってしまう。目が覚めていては聴けない領域があることを、いつも想います。どうやってもほぐせない現実と、境界線のない幻想の狭間、もっともやわらかな部分に、待っていてくれる存在がうたであること。
この作品に私はいつも助けられているのです。
- 『ひきがたり・ものがたり Vol.1 蜂雀 (ハミングバード)』
- 七尾旅人
世間や人々がざわざわしていて、それでいても、
きっと、静かな時間を見つけ出せるように。
みちしるべのような作品。つめたくてつめたくて、
皮膚感覚がなくなるくらいまで冷えて、そのとき最初に感じるぬくもりが
息とか、呼吸とか、血液の流れだったら、しあわせ。
裸よりも裸になったとしたら。
- 『雨に撃たえば…! [Disc 2]』
- 七尾旅人
どこへでも飛べる。ずっと約束している。
壊れたら、すごく泣く。
だれにも。絶対わからない、仲良しのともだちにも。
ただ堕ちてきて、のぼってゆく雨粒だけが知っている。
一瞬の美しさだけを集めては、とらえていく。
すこしだけ笑顔になって、やっぱりここでいいんだ、と
うなずく。
- 『Debut』
- Björk
2013年のフジロックでBjörkをみました。
強かった。そして恋した。
聴くと、はじけてしまう。
ごつごつした金平糖みたいなこころになったら、彼女の歌声にふれて
跡形も無く蒸発してしまえばいいな。
甘かった記憶をたどれるように、たくさん音楽を愛して
とどめをBjörkと一緒に感じられたら、きっとたのしい。
- 『JOAO VOZ E VIOLAO』
- João Gilberto
いつでも。
どんな時でも。
いけないことをしたときだって。
- 『Lost Memory Theatre Act-1』
- 三宅純
ざわめきが瞬時にして、すべてを失って、そして現れた色彩の豊さ。
三宅さんの音楽を聴いているとき、いつも頬は赤く、発熱していて、
玉手箱を覗いてしまいそうになる、ような、わくわくした気持ちでいっぱいになります。
墓場だってスキップしちゃうみたいな、こわいおばけだって、
きっと仲良くなれば、すぐに素敵な場所へ案内してくれる。
三宅さんと一緒に、舞台「9days Queen」の音楽を作っていたとき、
パリの夜道を静かに散歩していて、拾い集めた眩しいほどの景色が
このアルバムにはいっぱいつまっているのだと思います。
いま立っている、ここが、
映画や舞台や、おとぎ話の中であったこと、思い出させてくれました。
- 『POPCOCOON』
- マヒトゥ・ザ・ピーポー
マヒトゥ・ザ・ピーポーのうたに
何度も倒され、何度も拾われています。
血がかよった生身の姿で、ちゃんとみている。
望んで縛られていることもできる。
省かれがちな部分にどれほどの、たからものがちらばっているか
わたしたちは鼻をきかせて歩くことができる。
この言葉たちだって、一瞬でくだけてしまうだろう。
それでも、感じている。
あたたかいや、さみしいや、
いたみ、うれしい、たのしい、いとしいが、
からだいっぱいに広がることを。
その度に、うたってもいいんだよ、がきこえます。
■青葉市子 / ICHIKO AOBA
音楽家
1990年出生、京都で育つ。
17歳からクラシックギターを弾き始め、
2010年1月、19歳の時に1stアルバム「剃刀乙女」でデビュー。
これまでに4枚のオリジナル・アルバムを発表。
http://www.ichikoaoba.info
●LIVE 告知
7/9 (Wed) @ 恵比寿LIQUIDROOM
青葉市子
青葉市子 アワぶくツアー . 。○ o ◯ 2014
http://192.168.1.10/liquidroom_import/schedule/20140709/18098/
ツアー特設ページはこちら
http://awabukutour2014.tumblr.com/
私の人生で呪いにかかった一番最初の毒薬でした。
学校の帰り、制服のまま日比谷さんのライブを聴いてしまった、
もう戻れないのだな、と今までのパステルな少女に手を振った。
「いびつな月のはからい」という曲が、
夜道はひとりで歩いてもよいものだと教えてくれました。