一緒になって叫ぶ この世界の愛おしさ
“とんでもない歌が鳴り響く予感がする”。そんな予言めいたフレーズで始まるThe Birthdayの新作『COME TOGETHER』は、重厚でありながらも研ぎ澄まされたソリッドさを持ち、あらゆるものをなぎ倒していくような推進力を持ったサウンドを炸裂させた、とんでもないロックンロールの宝庫である。
彼らの楽曲はロードムービーみたいだ、と頻繁に評される。それは1曲、1曲が豊かなストーリー性と存在感を放ち、人々の様々な感情を想起させるからだろう。思わず弾きたくなるギターフレーズの数々や強力かつ無比なボトムに支えられ、曲の音像はより鮮明になり、立体的に浮き上がった幅広い物語を耳や脳内へと響かせてくれるのだ。
そしてチバユウスケの歌詞には、ふと読むとついつい笑ってしまうフレーズが入り込んでいるけど、それはどんなにカッコいいことを言おうが、人間が吐く言葉なんて大したことはない、と嘲笑っているかのようだ。しかし、物事の真へと迫る言葉もこの世には確かに存在する。それは行動を伴ったときであり、チバのロックンロールに捧げた人生が反映されているからこそ、抜群のセンスと絶妙の塩梅で成り立っているのだ。本当に稀有な詩人だなと思う。それと今作では、自分以外の誰かへと向けた歌詞が多いのも顕著だ。アルバムタイトルに『COME TOGETHER』(一緒に、などの意味)と付けたのも納得。
僕たちが生きているくそったれの世界。だけど愛おしく思えるように、The Birthdayは今日も音をかき鳴らし、高らかと叫ぶ。”世界中に叫べよ I LOVE YOUは最強”と。