オルガン、リズムボックスによるシンプルな素材から紡ぎだされる美しいメロディ。
MUTE BEAT、JAGATARAなどさまざまな伝説的なバンドに在籍し現在もシーンの第一線で活躍する鍵盤奏者エマーソン北村の待望ソロアルバム「遠近(おちこち)に」がリリースされる。
これまでもエマソロと題された独りオルガン、リズムボックスのみというシンプルかつ詩的イントゥルメンタルなスタイルでのLIVE活動は行われてきたが、ソロアルバムとしては約10年ぶり。ファン待望のリリースとなった。
エマソロの醍醐味はなんと言っても彼独りによるオルガン、足鍵盤によるベース、リズムボックスというある意味シンプルでとても限定された構成にもかかわらず、その中で人力発電的に紡ぎだされる美しいメロディと世界観だろう。
音楽を表現するスタイルとしては普通ベース、ドラムなどはそれぞれ担当するメンバーが居て当然なのだが、あえてそれを独りで演奏する事により独特の表現スタイルに行き着いている。
彼のライブ時の動作は右手がメロディ、左手がコード、時には左足がベース、右足がボリュームペダルになり、それはある意味制約された演奏状態だ。が、それゆえの独自の演奏スタイルが確立され、それはメロディ、そして作曲へも反映された結果エマーソン北村以外何者でもない独自な演奏スタイル、作曲が確立された。この新しいアルバムのすごいところは彼の限定された演奏スタイルを聞く者に感じさせる事なく楽曲の美しさを優先し引出す為のプレイで構成されているところに彼のパーソナリティとユニークな美学が表現されている。
演奏場所も普通のライブ会場ももちろんあるのだが、面白いシチュエーションで展開される事も多く、カフェなど小さな空間または大阪の(buttah)カレー屋さんなど彼の演奏スタイルがダイレクトに伝わる場所で展開している事も独特で面白い。
そんなエマーソン北村の新作ソロアルバム「遠近(おちこち)に」だがLIVEスタイル同様に作曲、演奏、録音、MIXなど音の関する全作業、一通りを全て自身で行ったゆえ、生じるプライベート感を内包しつつ曲調も詩的でメロウなメロディからグルーヴィーで踊りだしたくなるバラエティに富んだ展開は、まるで画家が描いた一枚のキャンバスに接する様な質感の素晴らしい作品となった。
これからアルバム発売を記念して各地でのLIVEを控えているらしいので、ぜひ彼の独特なすばらしい表現に触れてほしい。
エマーソン北村公式サイト
http://www.emersonkitamura.com/