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死んだらどうなる

『死んだらどうなる』

stillichimiya

[label: Mary Joy Recordings/2014]

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孤島が呼応していく音

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text by 高城晶平(cero) http://www.geocities.jp/cerofan/ https://twitter.com/takagikun http://www.kakubarhythm.com/

 2014年2月、山梨県は未曾有の大雪に見舞われ、甲府市では114cmの積雪が記録された。県境は途絶し、stillichimiyaのホームタウンである一宮町もまた、陸の孤島と化していた。2月17日にYOUNG-GはTwitterにこう寄せている。
“@JUUKI: 俺らはずっとここは陸の孤島だと思ってるんだよ。今に始まったわけじゃない。その上でここで何が出来るのか、それをずっとやってるんだよ”
 そして“stillichimiyaはこの災害を乗り越えてやべ~アルバムを完成させます。みなさん、災害には備えましょう”とも。
 その5ヶ月後、“陸の孤島”で密やかに作られていた新作『死んだらどうなる』が世に放たれた。この数年で激化している政治的狂騒と度重なる災害のなかで、stillichimiyaが『死んだらどうなる』と問いを投げる。僕は少なからず身構えていた。きっと新作はヘヴィーなものになるだろうと。
 ところが、最初に公開されたPV『ズンドコ節』は、その予想を多いに裏切るものだった。ズンドコ節のメロディーの上に聞き取りやすく余裕のあるRAPが乗ってくる。それぞれのヴァースの前には必ず枕が入り、一発でstillichimiya一人一人のキャラクターに馴染んでしまう。
 意表を突くどころではない切り口に思わず笑いながら、きっとこんなHIPHOPなら子供もお年寄りも楽しんで聴くだろうとふと思った。実際、友人から「PV観てたら親戚の子がきて笑いながら楽しんでいた」という声も聞いた。
 stillichimiyaの優しさを感じずにはいられない作品だが、帯には「わしらただ遊んでるだけや」とあって、それもまた本当なのだろうなとも思う。
 途絶された“陸の孤島”でのバカ騒ぎ。そのバカ騒ぎは他でもない自分たちのためだけに開かれた世界だったが、気づくと他所の孤島に住む連中も呼応している。そうして騒ぎが拡がっていって、最後にはとんでもないことになっている。そんな未来を想像せずにはいられない。
 葡萄、桃、おねり、1000体以上出土されている土偶、バブルの遺産、マグロ(の消費量)…この作品に登場してくる山梨のエレメントの数々。これだけのエレメントが東京にあるだろうか。あるかもしれない。けどその多くは借り物だ。東京もまた孤島の一つに過ぎない。YOUNG-Gは“その上で何が出来るのか”と言った。僕たちもまた必死でそれを考えていかなければならない。

stillichimiya【MV】ズンドコ節

stillichimiya公式サイト
http://www.maryjoy.net/artists/stillichimiya.html
http://www.stillichimiya.com

※田我流とともにstillichimiyaも参戦する、エナジー渦巻く恵比寿夏の陣!の詳細は下記の通りです。
8月8日(金曜日)
LIQUIDROOM 10th ANNIVERSARY
在日ファンク x 田我流
公演概要はコチラから

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