ひとつの人生を経験し、CAMPFIREから始める
メレンゲが2013年の夏にキューンミュージック移籍以降、初めてのフルアルバムをリリースした。12曲中、4曲がタイアップ、そしてシングルカットされてきた曲ということもあって、メレンゲにとってベスト盤と言ってもいいぐらいの豪華さだ。
「CAMPFIRE」と名付けられたこのアルバムは、表題と同じ「CAMPFIRE」から始まる。曲解説で「神様が火のまわりに集まるかのように、メレンゲというキャンプファイヤーに曲が集う。集まってはじめてこのアルバムが完成する」と語っている。消えそうなほど静かな音から始まり、徐々に熱を増していく。まさにキャンプファイヤーに火がつけられ、大きくなる炎に人が集まっていく様子が目に浮かぶ。「暗闇の中、炎が揺れる」そう歌っているように、その光を目指して、人が集まってくる。始まりというよりも、終わりに近い。その場所に、そっと気持ちを落ち着かせてしまう。
しかし、その落ち着いた気持ちは2曲目の「クレーター」で再び激しく揺さぶられる。この曲をクボは「さて、やるかと勇気をくれる曲」と解説する。その言葉通り、このアルバムは「クレーター」が始まりのような気がしている。つづく「アンカーリング」は明日への原動力のかけらを歌っていて、さらに「エース」は、前に一歩踏み出していけるようなアップテンポな曲だ。「東京にいる理由」、「さらさら’90s」では自分について悩み、「ライカ」では、甘酢っぽい気持ちも経験する。
どれにもストーリーがあり、聞き終える度にひとつの人生を経験してきた後のように感じる。曲調も違えば、題材も違う。でも、物語を綴っている点が共通していると思った。
12曲を聞き終えて、再び「CAMPFIRE」に帰ってきた。勇気を出して前に踏み出し、新しい明日を迎え、東京という街の世知辛さに遠い昔の青春を思い出した日もあった。そして、今、キャンプファイヤーを囲んでいる。11曲のエピソードを見てきた。その後に聞く「CAMPFIRE」。火を見つめ、気持ちを落ち着かせる。そしてまた「クレーター」が始まる。「さて、やるか」という気持ちを取り戻す。
「CAMPFIRE」は、再び踏み出すために心の準備をさせる場所。クボの解説通り「ここからはじまり、ここに集い、ここにまとめ、ここに帰る」のだ。12曲聞いた後に、ここから始まる理由に気づかされた。
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いよいよ今週末開催!!
11.23.Sun
メレンゲ
「雨四光」
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