裏路地のトリップ
2000年代を前後に発掘され再発を重ねられた世界各地の民俗音楽や異形のダンスミュージック達は筆者の音楽体験に大きな衝撃と体験をもたらし土着のグルーブは未だ耳に貼り付いて離れる事をしらない。皆様がそうであるように彼らもその得体の知れないグルーブの穴に引きづり込まれたのだろう。ことドイツ音楽、クラウトロックやその他の実験音楽において非西洋音楽とは常々取り糺されて来た重要な要素であり、あるドラマーがガムランの楽団に赴きアルバムを完成させている事からも承知の事実である。インターネットを介しても人が旅をしその現地に留まる体験だけは得る事は出来ず、ドイツはライプチヒのトリオ”Praezisa Rapid 3000″の新作である”Miami/Mumbai”は我々を異国の雑踏と狂乱へと誘ってくれる非常に体験的なアルバムである。今作が2枚目の作品である彼らは1stアルバム発表後にバンド活動を休止させ各々が世界各地へと赴き留まる事から得た情報やインスピレーションを元にこのアルバムを完成させている。Mumbaiは実際のムンバイを意味し、あたかもそこで流れているラジオの如くカットアップされたボーカルや音階が随所で聞こえ、言語感覚がボンヤリしているおかげで異国の裏路地にあたかも迷い込んだ感覚を覚える。サブライムフリークエンシーやファインダーズキーパーズといったエキゾ、民族音楽の収集感覚をドイツ的なカットアップ/コラージュユーモアを用いて(時折Faustから感じる人を食う面白み)モダンなダンスミュージック、ベースミュージックのアップデートとして構築されている点が素晴らしい。リミキサーにはRas G(これは凄く納得)や日本からSerph、マスタリングをDaddy Kevが担当しており宇宙の様に広がるイメージや音像を太い骨格で束ねている。個人的にはドイツの先鋭的音響レーベルであるPANからHeatsickがリミキサーにいる点も重要な要素だと思う、お互いが持つユーモア感が共鳴しすぎてヤバい。一方のMiamiの部分だが、どこにあるのだろう??テンションだろうか、にしては少々チルでスムースな瞬間もあり下世話さも感じない。これは恐らく、ユーモアの部分でしょう。人を喰ったようなとも言えるシリアスさを排したムードと旅先に暮らす人々のエネルギーとコラージュ感覚は確かに通ずるものがある。国によっても笑いのツボは違いますからね。是非皆様にもこのアルバムと共に世界裏路地旅行を楽しんで頂きたい。
※本作のマスタリングを担当したDaddy Kevが出演するBLACK SMOKER RECORDS PRESENTS『BLACK GALLERY』の概要は下記の通りです。
BLACK GALLERY Artist:KILLER-BONG, KLEPTOMANIAC, メチクロ, 伊東篤宏, 河村康輔, BAKIBAKI, POPYOIL, BABA, KOJOE, 5LACK, 田我流, OMSB, mahito
2014.12.4 thursday – 12.7 sunday@KATA[LIQUIDROOM 2F]
open 15:00 / Show Time 19:00
entrance free!!! *Show Time → 1st drink charge 1,000yen(include music charge)