ベース・ミュージック、そしてエレクトロニック・ミュージック最前線へ
ここ数年で顕在化しつつあるベース・ミュージックとレフトフィールドなテクノの流れのクロスポイント。先日リキッドルームのEMAFでも来日したアントールド、さらにはリヴィティ・サウンドあたりが頭をはっている流れといえばわかりやすいだろうか? ダーク・ミニマルとライヴ・エレクトロニクス、さらにはベース・ミュージックが結びついたサウンドは、前衛電子音楽とダンスフロアの間を自由に行き来する。この流れにある作品がまさに日本のダンスフロアからも出てきたと言えるだろう。本作は、アブストラクト・ヒップホップ、そしてドラムンベースにそのルーツを持ち、現在はゴス・トラッド率いるジャパニーズ・ダブステップの総本山〈Back To Chill〉のレジデントとして活動しているYu Asaedaのソロ・プロジェクト、ENAのセカンド・アルバムだ。フランスのベース・ミュージック・レーベル〈7even Recordings〉からリリースされたファーストから1年半、さらにその音色の色彩はディープに深化している。ミニマル・ダブ以降の音響操作とダーク・インダストリアルな質感、そしてジャングルやUKガラージ、さらにはテクノのイーヴン・キックを混ぜ合わせて、無駄をそぎ落とした、そのリズム・デリバリーは、強烈に迫ってくる。まさに、いま世界のアンダーグラウンドで鳴り響く、そのサウンドそのものと言える。