絞りだすように歌う切ない声に引き込まれる
2013年6月の日本武道館公演以来、事実上活動を休止していた凛として時雨が久々の新曲を発売した。しかも、初のベスト・アルバムと同時発売だ。新曲「Who What Who What」は「劇場版PSYCHO-PASSサイコパス」の主題歌としても注目されている。
男女ツインボーカルの彼らの曲は、TKの男性にしては高い声と345の女性特有の高音の歌声が特徴的だ。どちらも高いキーを歌っているせいなのか、泣き叫びながら歌っているように聞こえるときがある。それは、TKの書く歌詞のせいもあるのかもしれない。新曲を聞いたとき、モッシュをしながら、激しく踊りたくなるようなBPM早目の音に乗った歌詞を知りたくなった。
真実を求めながらも、そのための嘆きすら居場所を失い、自分の感情との決別を選ぶ。映画とリンクさせている部分もあると思うが、TKの言葉の選び方には鳥肌が立った。凛として時雨の曲を聞いて涙することなんてないと思っていたが、人間の冷めた部分をある意味素直に表現する言葉は、ぐさりと胸に刺さり、込み上げてくる感情に動揺してしまう。不条理な世界に対して異議を唱えながらも、自分を殺していく。そんな自分ではありたくないと思っているが、隠していた部分を洗いざらい晒された気がして歌詞を深く知るほどに苦しくなる。そしてそれを歌い上げる、ふたりの切ない歌声。思わず、溢れそうな涙を飲み込んでしまった。
同時発売されたベスト・アルバムは、ライブの代表曲とMV制作曲を中心に選曲。インディーズ時代の曲に関しては、新たなミックスを施し、ただのベスト・アルバムではない仕上がりになっている。彼らの過去と現在の両方を感じられる1枚だ。
今年は、この新曲とベスト・アルバムを引っさげて2年ぶりのツアーも始まる。ぜひとも彼らの心の叫びを聞きに行きたい。きっとこの曲は生で聞いたときに、さらにまた違った感情を連れてき