変わらないでいてくれる優しさ
結成15周年を迎えるPolarisが9年ぶりにフルアルバム「music」を発売した。
「前のアルバムって、9年も前でしたか!」と思うほど、その数字にまったく実感が湧かなかった。なぜなら、Polarisの音楽はなぜかずっと隣にある、そんな曲が多いからだ。
1曲目の「天と点」を聞いた瞬間「この曲、知っているかも」と思ってしまった。当然知っているはずもなく、初めて聞いた曲である。それなのに、昔から私の中にあったような懐かしさを連れてきてくれた。次曲の「大気圏」は、いつかの夏フェスで太陽の下、踊っている姿が思い出された。ステージには、オーディエンスを湧かせるオオヤユウスケの姿も見える。「あの時のステージはよかったよね」なんて、思わず友だちに話しかけてしまいそうだ。
よく「月日が経つと彼らは変わってしまった」、「昔の曲がよかったよね」なんてことを耳にする。アーティストだって人間なのだから、環境や心境の変化で感じるものが変わり、必然的に創作に対する思いも変化するのだろう。
それは進化であり、変わったからと言って、それが悪いことだなんて思わない。むしろ、人間として至極当たり前なことだとすら思う。
Polarisもまた、この9年の間、大きな変化はあったはずだと思う。世の中だって、9年も経てば全く違う世界が当たり前になっている。
例えばそれは、ガラケーが普通だった9年前からスマホが主流になった現在のように。消費税が8%になったように。自分が意識しなくても、小さな変化はいくつもあるものだ。
それなのに、Polarisの曲はこんなにも懐かしさを感じるのはなぜなのか。9年間、ともに生きてきたような、そんなオアシスがここにはある。当時もきっと同じ気持ちでPolarisを聞いていたに違いない。
そう言い切れる。
今日も隣で「music」が流れ続ける。もうずっと、そこに長くいたかのように、自然とこの場所は、彼らの定位置だ。9年経っても、Polarisは変わっていなかった。もちろんそれは、とてもいい意味で。