MEANING “150 TOUR” FINAL -2MAN-
戦場と化した会場。それが最高のライブということ
18時を少し過ぎたころ、フロアに響く重低音。その震動は、体を強く震わせる。「MEANING“150 TOUR”FINAL-2MAN-」の対バン相手envyの登場だ。
「Worn heels and~」からenvyの演奏は始まった。体全体に染みこんでくる重低音を刻むようにオーディエンスは体を縦に揺らす。ステージは、ほぼシルエットのライティングで、彼らの音だけがどんどん響いてくる。フロア前方は、すでに戦場のようにもみくちゃになっていて、うねりのような空間だ。次曲「Awaken eyes」を演奏するころには、オーディエンスの汗が舞い上がっているのが見える。ほぼ真っ暗のなか、ステージに浮かび上がる光、そこから生み出される音に身を委ね、ひとつひとつの音を刻む。ボーカル深川哲也の叫びと体を震わす重低音。その両者とオーディエンスは戦っている。「左手」、「Scene」、「nuro devilman」と続き、さらにダークな世界観を作り出すenvy。フロアは、さらに熱い戦場になり、湯気が沸き立っていた。そして「A warm room」、「さよなら言葉」を演奏。MCほとんどなし、曲間もなしの8曲はあっという間の45分だった。MEANINGへの熱い架け橋が繋がった。
セットチェンジを挟み、幕が上がった途端、オーディエンスが低音に合わせて拳を高く上げ始める。「Sleepless Night」を演奏し始めると、初っ端からモッシュの嵐。ボーカルハヤトはもちろん、オーディエンスも戦う気満々だ。2曲目の「WHAT WE LOVE, WHAT WE HATE」では、ハヤトがフロアにダイブ。さらに彼が「来いよ」と煽ると、波のようにオーディエンスが押し寄せ、ハヤトを囲む。その群衆の頂点に登りつめる姿は、まるで英雄が登場したかのような景色だった。次曲の「My War」で、ハヤトが「戦いに行くぞ!」と群衆を引き入れ、フロアはさらに熱い戦場と化していった。
フロアが明るく照らされる度にステージに向け、強く拳を上げる姿が見える。MEANINGとオーディエンスは真っ向から音と戦っているのだ。
6曲目の「Here For You」では、ハヤトがフロアに降りて、オーディエンスの波に乗りながら後方へやってくると、前方だけだった戦場が後方まで侵食されていった。
MCではツアー中、メンタルが弱っていた時期もあったと漏らす。自分たちのために、そしてオーディエンスのために「明日からもがんばれる曲を置いていく」と演奏し始めたのが「Infection」。そして「大切な人を思い浮かべて欲しい」と願いを込めた「May The Peace Be With You」。MEANINGのシルエットのみがステージに現れ、そのなかで天に向かうようにハヤトが声を張り上げる。表情は見えないが「伝えたい」という気持ちがわかる。マイクを通していないにも関わらず、それに合わせて歌うオーディエンスの声も響いていた。
「Knock It Off 」でハヤトがサークルで暴れまくる人々に向かって「上がって来いや!」と促すと、次々にステージへ。ダイブの嵐が巻き起こり、会場の熱さはついにマックスを超えた。
最後のMCでハヤトはツアー中に、このままMEANINGを続けていけるのかを話し合ったことを打ち明けた。一瞬「まさか」という思いがよぎる。しかし「今日が区切りではなく、始まりです」と前向きな答えが続き、あたたかい拍手が送られていた。
ラストは「150」。赤いライトのなか、最後の戦いが始まった。フロアに響くハヤトの声と、体に伝わるドラムの震動。全身で音を感じ、それに負けじと体を暴れさせる。MEANINGとともに絶頂を迎え、本編は終了となった。
彼らがステージから去ったと同時に始まるアンコールの声。オーディエンスひとりひとりが「まだまだ、足りない!」と声を張り上げている。その声に応えるように彼らは再びステージへ戻ってきた。アンコールは1曲。全員で拳を高く上げ、頭の上から足の指先まで音楽を感じた。最後まで全力で音楽と向かい合い、戦い抜いた2時間。MEANINGもオーディエンスも、両者ともに勝者であり、それこそがライブの醍醐味である。