ムードが、あるんです!!
僕がカラオケでよく歌う、ゆらゆら帝国の『空洞です』の歌詞の中に
“なぜか町には大事なものがない それはムード 甘いムード
意味を求めて無意味なものがない それはムード とろけそうな”
という一節があって歌うたびにグッとくるのですが、ceroの新作アルバム『Obscure Ride』を聴いていて、なんともいえない甘美な心地にさせられるのは、この『空洞です』で歌われている“とろけそうなムード”のようなものがみっちり詰まっているからじゃないかな、川平慈英風に言うなら「このアルバムには、とろけそうなムードが、あるんです!!くぅぅっ!」じゃないかなと思った次第です。
なので僕にとっては『Obscure Ride』は「シティポップ」というより「ムード歌謡」なのかもしれません。最先端の音楽にそんな昭和なレッテルを貼るのは許さんと叱られかねないので、「最先端かつ最高にかっこいいムード歌謡」と言いえばよいでしょうか。ダメでしょうか。ごめんなさい。
とにかく『Obscure Ride』の曲はどれもただごとじゃないムードを放っていて、曲が進むたび、甘美に、エキゾチックに、センチメンタルに、様々な心地にもっていかれます。ぼんやりと退屈な夜も、このアルバムを聴いている間だけはとろけそうなムードに包まれ、ビキニガールとスカッシュをしたり、ファイヤーダンスをしたり、海へドライブしたりできるのです(僕の脳内で)。