新興国の神話のようなぶっ飛んだ場面の数々
2015年、夏は例年通りの暑さです。
ひどく高い気温の日が続くと、無限に続くような寝苦しさから
ついつい冷房をつけてしまい去年もこうだったな、、。
この時期に誘惑は沢山あります。野外ライブ、キャンプ、バーベキュー
ビアホール。友達がアップする楽しげな写真を横目に、煮詰まる楽曲制作。
北里さんに去年の今頃、煮詰まった時何します?と聞いたところ、
気分転換に一人で二県隣まで小旅行したとのことでした。
二県隣、そう聞いて勝手に想像するのは、写真で見たメキシコとアメリカの国境だったり
小川の流れる静かな山小屋。
そんな前作’’Dead Montano’’で居たところから、今作”Unknown Moments”の歌詞を読んだとき
北里さんはもっとどこか時代と風景がこんがらがった遠い場所に行ったような印象を受けました。
固有名詞が減ることで、モチーフは更に抽象的になり
新興国の神話のようなぶっ飛んだ場面の数々に驚きました。
さて、話は変わって僕はバンドをやる醍醐味の一つは、継続して活動をしていくことによって
段々と各々の癖だったり決め事みたいなものが演奏に積もって独特なものに
なることだと思っています。サウンドの面で”Unknown Moments”は
2012年12月から続いている光永さん、岩見さんと三人の
アルフレッドビーチサンダルの演奏が色濃く出ているように思い感動しました。
所々で聞こえてくる確かな経験に裏打ちされたリズムアンサンブルには本当に感銘を受けました。
以前からアルフレッドビーチサンダルの音楽は活動している
場所や地域以外に、形容出来る便利な言葉がある音楽では
無いと思っていましたが、今作ではそれが更に押し進められているように感じます。
ただただ人のいない荒野を突き進むような背中にジーンときつつ
時代を振り返って見た時に、この作品がある一つの流れの足がかりになったことに
気づくようなそんな予感がしています。