FEATURE

　アリソン・モシャートとジェイミー・ヒンスからなるロック・デュオThe Killsが約５年振りとなるアルバム『Ash&Ice』を発表。ギタリストのジェイミー・ヒンスは前作『Blood Pressures』発表後の手の故障により手術と長いリハビリが必要となったが、今作で完全復活を遂げた。
　今作のレコーディング、ミキシング、マスタリングが行われたカリフォルニアの感覚を表したという“Doing it to Death”のMVでは、青い空と木々の爽やかな美しさと霊柩車に乗って墓地を進んで行く全身黒ずくめの２人の気だるさ、悪さが対照的。一方、“Siberian Nights”MVでは暗闇の中を駆け回る孤高なシベリアンハスキーが印象的だ。ジェイミーはリハビリ中に作詞のイメージを掴む為に１人でシベリア鉄道の旅に出たという。手の故障について彼はほとんど語っていないが、シベリアの冷たく美しい景色から彼は何を感じたのだろうか。しかし、アルバムを通してアリソンのセクシーな歌声は健在ながら、より渋くなって色気もムンムン。それでいて力強く図太いサウンドはパワーアップ。まるで激しいアクション映画を観ているかのような高揚感、艶っぽさ、爽快感。
　暑い夏こそ熱いカレーと言うけれど、太陽の下で汗をかきながらThe Killsの熱いサウンドを聴いたらなんて気持ち良いだろう。２０１６年のこの異常な暑さは熱いロックを聴いて乗り切るのが１番良いかもしれない。