等身大の十代による、冷えついた轟音と叫び
“ロック”という音楽を体感し認識した少年時代。
耳にするその音には、積み重ねた日常の苛立ちやフラストレーションが籠められていた様に思える。
神奈川を拠点に活動する男女混同4ピースバンド・ニトロデイと出会い、久々にそういった青い感情論を目の当たりにした。
ニトロデイのメンバーの殆どが現役高校生。
今作リリースの挨拶周りの際に、制服のまま弊店に来てくれた事が印象的だった。
実際にお会いした時のまだ垢抜けない印象とは対照的に、ステージでは堂々としたパフォーマンスと轟音を生み出すのだから驚きだ。
ヴォーカルの小室ぺいは、影響を受けた音楽としてbloodthirsty butchersやuri gagarn、ART-SCHOOL等を挙げており、
彼が作り出す楽曲からもそういったジャパニーズ・オルタナティヴロックの激しくも儚い楽曲を生み出す系譜が強く感じられる。
これから大人になっていくという現実、その大人に感じる嫌悪感、不信や何処か諦めに近い感情。
十代特有の感覚で書かれた歌詞には、希望も失望も込められたリアリティーが存在している。
そして、その感情を体現したかの様な、あまりにも素直で疾走感のあるバンドサウンドが圧倒的な魅力だ。
吐き捨てるかの様にも叫ぶ様にも聴こえる小室の歌声に、十代の等身大のリアルを感じるのだ。
所謂初期衝動の最も鋭角な部分を現代で感じられるのは、ニトロデイのサウンドだと私は思う。
15年前、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが”崩壊アンプリファー”をリリースし、
当時中学生だった私は多大なる衝撃と影響を受けたのだが、あの時と同じ熱量で今作”青年ナイフ”に夢中になっている。
自分自身のベースにあるエモーショナルロックのツボをギュッと抑え込まれる様な感覚だった。
突然変異的に現れたニトロデイという存在は、これから更にシーンという言葉では括られない方向で
旋風を巻き起こしていくだろう。
冷えついて、尖っていて、突き刺してくる様な自身のベースにあるロックを大切にし、
そこを刺激する何かをずっと待っていて心から良かった。
このバンドとの出会いによって、過去の自分自身と再会出来たのである。